データセンターの省エネを強化 事業者に定期報告や自主開示を求める方針に:第47回「省エネルギー小委員会」(2/4 ページ)
AIの普及などを背景に、今後日本国内でも多くの新設が見込まれているデータセンター。それに伴う電力需要の増大を見据え、資源エネルギー庁の省エネルギー小委員会では、データセンターのさらなる省エネ施策を検討。事業者に対し、省エネ法に基づく定期報告や中期計画の提出、自主的な情報開示などを求める方針だ。
諸外国におけるデータセンター(DC)の省エネ規制
ドイツは、EUのエネルギー効率化指令を踏まえ、2023年11月に「エネルギー効率法」を施行した。同法ではDC事業者に対して、エネルギー効率等に関する情報の公開と国への報告を求めている。
同法ではDCのエネルギー効率に関する要件を定めており、2026年7月1日以降に運用を開始するDCはPUEが1.2 以下であること、同年同日以前に運用を開始したDCは、2027年7月1日以降のPUEは1.5 以下、2030年7月1日以降のPUEは1.3以下であることが要件とされている。
また、中国は2024年7月に「データセンターのグリーン・低炭素化のための特別行動計画」を発表し、2025年末までに、新設・増設された大規模DCのPUEを1.25以下とする目標を掲げている。
データセンターのエネルギー消費の動向
近年、DCの大規模化が顕著であり、ソフトバンク社が2026年度に開業予定の苫小牧DCは300MWであるほか、日本各地に数百MWから1GWといった大型DCの計画が公表されている。
従来型の企業向けDCは、稼働率が80%程度、PUEは1.5〜1.8であるのに対して、近年のクラウド向けDCは、稼働率をほぼ100%とすることが可能となるため、結果としてPUEも1.1程度に改善している。
DCの大規模化、高密度化により、GPU等のコンピュータチップから生じる熱も増加しており、冷却に要する電力量も増加傾向にある。このため、DCでは新たな水冷式を開発することにより、PUEの抑制に努めている。冷却液の入った液槽にサーバーを丸ごと浸して冷却する「液浸冷却」では、冷却液によりサーバー全体から直接発熱を取り除くため、冷却ファン等が不要になり、PUE 1.1〜1.0程度の性能が期待されている。
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