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データセンターの省エネを強化 事業者に定期報告や自主開示を求める方針に第47回「省エネルギー小委員会」(3/4 ページ)

AIの普及などを背景に、今後日本国内でも多くの新設が見込まれているデータセンター。それに伴う電力需要の増大を見据え、資源エネルギー庁の省エネルギー小委員会では、データセンターのさらなる省エネ施策を検討。事業者に対し、省エネ法に基づく定期報告や中期計画の提出、自主的な情報開示などを求める方針だ。

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DC業のさらなる効率化に向けた規制措置

 GX実現及び国際競争力強化のためには、国内に最大限のDC設置を促すことが重要であるが、エネルギー面でこれを担保するためには、電源の確保と同時に、さらなる省エネ化(エネルギー効率化)を進める必要がある。このため国は、現行のベンチマーク制度目標(2030年度PUE1.4)に加え、新たな省エネ規制を講じることとした。

 第一に、基準年以降に新設するDCに対して、稼働開始の一定期間経過後に満たさなければならないエネルギー効率の基準(PUE値)をあらかじめ設定する。これにより、DCが一定年度までに満たすべきエネルギー効率が明確化される。

 また、DCのエネルギー効率の改善には、冷却等の付帯設備の省エネだけでなく、サーバー等のIT機器の省エネこそが重要である。この一例として、電子デバイスの電気配線を光配線に置き換える「光電融合」が、国産技術として期待されている。

 情報処理のエネルギー効率の評価指標は、まだ世界的にも評価指標が定まっていないが、日本の技術的な強みも踏まえ、国際標準化も視野に入れた評価指標の検討を今後進める予定としている。


図5.情報処理技術のイノベーション 出典:省エネルギー小委員会

DCの「中長期計画」及び「定期報告」の追加

 省エネ法ではこれまでも、対象事業者に対して、「中長期計画」及び「定期報告」の提出を求めてきたが、これは主に国と事業者間のコミュニケーションに留まるものであった。

 今後はDC業については、中長期計画(目標・取り組み方針)・定期報告(実績)の項目を追加するとともに、DC事業者自身が、社会に公開することを求める。DC単位の報告・開示は、サーバー室面積の合計が300m2以上の事業所を対象とする。このように目標や実績等が可視化されることにより、先進的な取り組みが社会から評価され、業界内でベストプラクティスとして広がっていくことでDC業の取り組みの高度化・底上げを図ることを目指す狙いだ。


表3.DCの定期報告等の追加及び公開 出典:省エネルギー小委員会

 国はDC各社の公表状況のフォローアップ(非開示事業者名の公表など)を行うとともに、個社の特定ができない形で総計レベルの情報を公表する。

 なお、DCは事業形態によって、「建物・付帯設備」及び「IT機器」のエネルギー管理権限が異なることを踏まえ、これまで「テナント型DC」はベンチマーク制度(PUE算定報告)の対象外とされてきた(ただし、原単位の改善は必要)。


図6.DC業の事業形態 出典:省エネルギー小委員会

 今回の見直しに伴い、「1.テナント型DCの保有するIT機器等の稼働率がPUEに影響を与えること「2.温度設定など、付帯設備の運用権限はテナント型DCにあり、効率化には協力が不可欠であること」「3.水冷式のラックなどテナント型DCが冷却設備を保有するケースも今後想定されること」などを踏まえ、今後はテナント型DCもPUEの効率化に係る責務を有すると整理することとした。

 以上より、DCの事業形態に応じたエネルギー効率化の範囲は表4のように整理される。


表4.事業形態別 エネルギー効率化の範囲 出典:省エネルギー小委員会

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