カーボンフットプリントの活用で日本製品の競争力強化 経産省が戦略策定へ:第1回「GX実現に向けたCFP活用に関する研究会」(5/5 ページ)
製品・サービスの脱炭素価値を表す指標として今後の活用が期待される「カーボンフットプリント(CFP)」。経済産業省はその普及に向け新たな研究会を設置し、CFP活用の方向性と必要な対策について検討を開始した。
リサイクルのCFP算定手法
リサイクルのCFP算定手法には、主なものとしてRCM(Recycled Content Method)、CLAM(Closed Loop Approximation Method)、CFF(Circular Footprint Formula)の3つがある。RCMでは「リサイクル材を利用すること」を評価、CLAMでは「リサイクルすること」を評価する、といった方向性の違いがあり、政策的にどちらを重視するかにより、採用するCFP算定手法が異なる。
日本のCFP活用と今後の検討課題
欧州等の規制に対応するため、CFPに取り組む企業も増えつつあるが、現時点、日本では政策的なCFPの活用はごく限定的であり、国内市場を対象とした民間ベースでのCFP取組も限定的である。このため国は、2023年3月に「CFPガイドライン」や「CFPレポート」を作成し、CFPの活用を促しているところである。
ただし、企業が持続可能なかたちでCFPに取り組むためには、CFP製品に対する需要の創造・購入が不可欠であり、本研究会では、需要家が国産GX製品を選択し購買するための仕組み・制度について検討を行う予定としている。また、日本製品の比較優位性が適切に反映されるCFP算定ルールの整備も重要であり、CFP算定を行う専門人材の育成や、算定ツール・データベースといった情報インフラの開発についても検討を行う。
研究会では、日本企業のCFPを活用した国際競争力強化に向けた戦略を策定し、2025年6月に中間とりまとめを行う予定としている。
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