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拡大する日本の最大電力需要 系統容量確保の実態と見直しの方向性第2回「次世代電力系統WG」(2/4 ページ)

データセンター投資や半導体工場の新設などの影響により、今後さらに拡大する見通しの最大電力需要。これに対処するための効率的な電力系統運用の確立に向け、「次世代電力系統ワーキンググループ」の第2回会合では、需要家側の系統接続に関する課題が議論された。

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印西・白井エリアにおける系統整備の課題

 一般的に、DC等の多くは、完工直後から電力の最大需要に達するわけではなく、稼働開始から数年程度かけて最大需要に達する計画を作成しており、段階的に契約電力を増加させる計画を申込時に提出している。

 資源エネルギー庁による印西エリアでの実態調査によると、系統の「空押さえ」と見られる以下のような3つの行動が確認された。

  1. 工事に必要な協議が出来ず保留状態となっているもの(10件弱・容量500MW弱)
  2. 一度提出した計画について下方修正や送電日の延期をするもの
  3. 提出された計画と比べて使用実績が伸びないもの

図3.提出された計画と比べて使用実績が伸びないケース 出典:次世代電力系統WG

 これら2や3のケースいずれにおいても、東電PGでは、当初計画値に基づき送配電設備の工事を進めているため、足元では大きな乖離が生じており、将来的にも過大な設備増強となるおそれもある。

需要側の先着優先ルールの在り方

 印西・白井エリアの例のように、現行の系統接続プロセスにおいては、DC等の需要家側の計画が不明瞭であっても、当初申し込んだ系統の容量を押さえたまま保留状態とすること、つまり「空押さえ」が可能となっている。

 このような先発事業者により空押さえされた系統に後発事業者DCが供給申込を行った場合には、実際には系統容量は使われていないにも関わらず、追加の系統増強工事が必要になることもある。これにより、後発事業者への供給開始までの工期長期化や工費の増大を招き、事業性の悪化により、後発事業者DCは申込を断念することも想定される。これはDXのブレーキともなり得る。

 また、系統増強工事を行った後に先発事業者が申込を取り下げた場合には、当該工事分は結果的に不要な設備となり、非効率な設備形成になるとともに、当該エリアの託送料金が上昇することにより、他の需要家への影響も懸念される。

 これらを踏まえると、需要家間の公平性確保及び効率的・合理的な系統設備形成のためには、大規模需要における先着優先の在り方について、見直しが必要と考えられる。


図4.需要側の先着優先ルールの見直し 出典:次世代電力系統WG

 現在すでに電源側では、工事費負担金の入金期限が設けられており、期日までに工事費負担金が支払われない場合、送電系統の容量は開放される。

 次世代電力系統WGでは、まずはDC等の大規模需要家に対して任意での協力を求め、託送供給等約款の見直し等の対応を検討することとした。

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