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太陽光パネルのリサイクル義務化 費用負担と制度設計の方向性がまとまる第9回「太陽光発電設備リサイクル制度小委員会」(3/4 ページ)

太陽光パネルの義務的な廃棄・リサイクル制度の創設に向け、国は2024年12月に「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」を取りまとめ、パブリックコメントを実施した。本稿ではその概要を解説する。

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再資源化費用の算定方法

 太陽光パネルの製造業者等に納付を求める再資源化費用は、製造又は輸入した太陽光パネルの数量単位に、一定の単価を乗じることで算出する。再資源化費用に影響を及ぼすものは太陽光パネルの重量であることから、数量単位は重量(kg)とする。


図4.太陽光パネル 再資源化費用の算定方法 出典:太陽光リサイクル制度小委

 再資源化費用の単価については、再資源化に「通常要する費用」の額を基礎として、環境配慮設計による「再資源化しやすさ」も考慮する仕組みとする。これにより、製造業者等における再資源化費用低減への取り組みを促すこととする。

 太陽光パネルのリサイクル制度の難しさは、新制度開始前に既に設置済みである膨大な太陽光パネルのリサイクル費用を、新制度開始後に確保しなければならない点にある。この既設パネルの再資源化費用は、新制度開始後に太陽光パネルを製造・輸入する事業者が負担することとなる。

 2030年代後半以降に顕著に増加する太陽光パネルのリサイクル量を賄える水準の金額であると同時に、現在の太陽光発電の新規導入マインドを冷やさぬ水準とする、難しいバランスが求められる。

リサイクル実施体制の構築

 太陽光パネルリサイクル設備の処理能力は全国的に増加傾向にあり、2024年度時点の施設件数は67件、処理能力は約11万トン/年に上るが、まだ都道府県によってバラつきがある。

 新たな制度では、太陽光パネルの所有者に対して使用済太陽光パネルの適切かつ遅滞ない取り外しを求めるとともに、解体・撤去業者等に対して中間処理業者への引渡し義務を課すこととする。

 また、広域的に太陽光パネルを引取り、一定水準以上の再資源化が実現可能な中間処理業者を主務大臣が認定する制度を設け、当該業者に対して引取り義務を課すとともに、再資源化等の実施を求めることとする。


図5.再資源化が実施される太陽光パネルの流れ 出典:太陽光リサイクル制度小委

 先述の図2のとおり、太陽光パネル製造業者等が第三者機関に納付したリサイクル費用は、パブリックコメントや法制的な検討結果を踏まえ、再資源化事業者に直接交付することとなった。

 また、再資源化費用低減のインセンティブを与える観点から、再資源化に要する実額を精算するのではなく、算定された「一定額」を再資源化事業者に交付することとする。具体的な金額は今後の検討である。

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