太陽光パネルのリサイクル義務化 費用負担と制度設計の方向性がまとまる:第9回「太陽光発電設備リサイクル制度小委員会」(4/4 ページ)
太陽光パネルの義務的な廃棄・リサイクル制度の創設に向け、国は2024年12月に「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」を取りまとめ、パブリックコメントを実施した。本稿ではその概要を解説する。
パネルの取り外し費用等は所有者負担に
太陽光パネルを適切にリサイクル・廃棄するためには、太陽光パネルの取り外し・収集運搬・中間処理・埋立処分等(これらをまとめて「取り外し等」と呼ぶ)を行う必要があり、太陽光パネルの所有者は、太陽光パネルの取り外し等を含む管理について責任を負っている。
取り外し等費用は太陽光パネルの設置方法等により左右されるため、その所有者に対して取り外し等費用の負担を求めることは、所有者が取り外し等費用の少ない構造の太陽光発電設備や太陽光パネルを選択するインセンティブとなり、社会全体での費用抑制につながると期待される。
取りまとめ案ではこれらを踏まえ、太陽光パネルの所有者に対して、取り外し等費用の負担を求めることとした。先述のとおり、これは非FIT/非FIP太陽光パネルの所有者を対象とした仕組みである。
太陽光パネルの取り外し等に要する資金の不足による放置を防止し、速やかな取り外しと再資源化事業者への引渡しを確保するため、太陽光パネルの所有者は当該費用を太陽光パネルの使用開始前までに第三者機関へ預託することが求められる。所有者は太陽光パネルの取り外し等の実施に際して、預託した金額を取り戻す仕組みとする。
住宅の屋根に設置された太陽光パネルなど、建築物の解体時に一体的に取り外し等が行われることで放置・不法投棄の可能性が低いと考えられる太陽光パネルについては、預託義務の対象外とするなどを検討する予定である。また、再エネ特措法と同様に、確実な費用確保が見込まれる所有者については、例外的に内部積立を許容する。
取り外し等費用は、太陽光パネルの重量(kg)や出力に一定の単価を乗じることで算出する方式や、太陽光パネルの枚数等に応じて一定の費用を求める方式とする。
太陽光パネルのリサイクル・廃棄に関する情報管理
現在、FIT/FIP制度による太陽光発電設備については、一定の情報が把握できているが、非FIT/FIP設備については、正確な情報が把握できていないという課題がある。
まずは、適正なリサイクル・廃棄に際して必要となる太陽光パネルの型式・含有物質等の情報を、太陽光パネルの製造業者等に対して、国や第三者機関が管理するデータベースへの登録を求めることとする。また、太陽光パネルの所有者に対しては、使用済太陽光パネルの適切かつ遅滞ない取り外しの実施を確保するため、太陽光発電設備の所在や太陽光パネルの取り外し予定時期等の情報の登録を求めることとする。
解体・撤去業者、収集運搬業者、再資源化事業者に対しては、使用済太陽光パネルの取り外し、引き取り、引き渡しや再資源化の実施に関する情報の登録を求めることとする。
今後の導入拡大が期待されるペロブスカイト太陽電池については、長期的な視点で、製造段階から適正な廃棄や今後の再資源化の実施を見据えた取り組みを進めるとともに、適正処理の実施に向けたルール作りが求められている。
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