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2025年度は過去最高の3.98円/kWh 再エネ賦課金はどのように算定されているのか?(3/4 ページ)

2025年度の再エネ賦課金単価がFIT制度開始以降で最高値となる3.98円/kWhとなった。本稿ではあらためて再エネ賦課金単価の仕組みについて解説する。

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「回避可能費用等」の見込み額の算定

 「回避可能費用等」には、回避可能費用のほか、過去年度の過不足調整等が含まれる。回避可能費用とは、再エネ電気を調達することにより節約できた金額のことであり、以前は主に火力発電燃料の「焚き減らし」がこれに相当するものであった。現在のFITではJEPX市場価格であり、FIPでは卸電力市場の参照価格である。なお太陽光や風力発電といった変動性再エネ電源については、実際に発電する時間帯を考慮する必要がある。

 賦課金単価を算定するには、2025年度という将来の市場価格を予測する必要があるが、「スポット市場・時間前市場価格の過去トレンドを基に分析」と一言述べられているだけであり、具体的な手法については公開されていない。


図3.JEPXスポット市場価格の推移 出典:JEPX

 またFIP制度において、環境価値はFIP電源側に帰属するため、これも「回避可能費用等」に含まれる。FIP制度における環境価値の参照価格は、非化石価値取引市場における「非FIT非化石証書(再エネ指定)」の直近1年間(直近4回)の約定価格の加重平均値を採用すると整理されている。

 非FIT非化石証書(再エネ指定)の約定価格は、2024年度の第1回、第2回オークションでは0.60円/kWh(最低価格:下限価格)であったが、第3回オークションでは最高価格:上限価格である1.30円/kWhで約定している。

 賦課金単価算定の細部に変更はあるものの、再エネ特措法開始以降の買取費用等・回避可能費用等、また両者の差分(実質的な国民負担)の推移を示したものが図4である。

 2023年度の回避可能費用等が急上昇した理由は、その前年の2022年度にウクライナ危機等による化石燃料価格の高騰により、卸電力市場価格が高騰したこと(図3)を反映したものである。


図4.買取費用等・回避可能費用等の推移 出典:経済産業省資料を基に筆者作成

 買取費用等は再エネ発電設備の増加に伴い、ほぼ直線的に上昇してきたが、2023年度以降はやや鈍化傾向にある。これは、新たに運転開始する再エネ発電設備量そのものが鈍化していることや、初期の高い買取単価の案件がほぼ一巡したためと考えられる。

 また、卸電力市場価格の沈静化を反映し、回避可能費用等を控除後の実質的な国民負担は、2025年度には初の3兆円超えが見込まれている。

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