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間接送電権市場に「年間商品」を新設 最低約定価格も見直しへ第3回「間接送電権の制度・在り方等に関する検討会」(2/4 ページ)

事業者間でエリアをまたぐ電力取引を行う際の値差リスクをヘッジすることを目的に導入された「間接送電権市場」。資源エネルギー庁では同市場へ新たに「年間商品」を導入し、対象連系線も追加する方針だ。

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間接送電権市場に「年間商品」を追加へ

 電力のエリア間取引を行う事業者に対して適切なヘッジ手段を提供するという観点では、間接送電権もなるべく多様な商品を設定することが望ましい。ただし、2019年の市場開始当初は、システム開発コストや取引量が分散する懸念を考慮し、最も汎用的なベース的活用のニーズを満たす「24時間型・週間商品」のみが設定された。

 近年、長期の電力相対卸取引が活性化していることや、2019年7月にはベースロード(BL)市場が開始されたことを背景として、より長期的な値差リスクをヘッジ可能な間接送電権に対するニーズが高まっている。

 電力の長期相対卸取引やBL市場では、いずれも「1年」商品が基本となっていることから、検討会では新たに間接送電権の「年間商品」(対象期間:4月1日〜翌年3月31日)を導入することとした。年間商品の導入時期については、システム改修等の状況を踏まえ、2026年度以降のできるだけ早いタイミングを目指すとしている。

「年間商品」の発行量

 JEPXが発行する間接送電権は、エリア間値差により生じた「混雑収入」が原資となっており、JEPXに過度なリスクを負わせないため、その発行量は連系線の「空容量」を上限としている。

 連系線の空容量は季節(月)により異なるほか、計画的な工事により事前に減少することが分かる空容量については、それらの「最小値」を間接送電権の発行量に反映する必要がある。

 また、突発的な連系線事故が発生した場合には空容量が減少することにより、実需給の2か月前に発行される週間商品であっても、商品がキャンセルされることがある。実需給の1年以上前に発行される「年間商品」では、このような約定キャンセルリスクがより高いことを考慮した発行量の検討が必要となる。

 さらに、週間商品は今後も継続して発行するため、限られた「空容量」を商品間でどのように割り振るかが論点となる。


図3.年間商品と週間商品の発行量配分 出典:間接送電権制度・在り方検討会

 検討会では、対象期間内の空容量の最小値の「1/2(50%)」を年間商品発行量の上限値として、残りの空容量は週間商品の発行量に充てることとした。図3のように、年間商品発行量は空容量の年間最小値で設定されるため、空容量が大きいタイミングや、年間商品取引後の売れ残り分はすべて、週間商品に充てることとなる。

 連系線事故等により空容量が減少した場合、間接送電権発行量の超過分については、年間商品と週間商品それぞれを按分してプロラタで約定がキャンセルされる。

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