検索
ニュース

太陽光&蓄電池ビジネスに変化の兆し 2025年度から始まる注目の新制度(2/4 ページ)

2025年度、屋根設置太陽光と蓄電池に関する新制度がスタートした。「FIT/FIP制度における初期投資支援スキーム」「建築物の省エネ基準適合義務化」「FIP電源併設蓄電池の系統充電の拡大」「系統用蓄電池の早期連系追加対策」、それぞれのポイントとビジネスへの影響は?

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

すべての建築物が「省エネ基準」の適合義務対象に

 建築物省エネ法においても、屋根設置太陽光の導入促進につながる改正が行われ、2025年4月から施行された。これまでは大・中規模(延床面積300平方メートル以上)の非住宅だけが対象だった「省エネ基準」への適合義務が、住宅や小規模非住宅にも拡大され、原則すべての新築建築物に適合義務が課されることになった(ただし、エネルギー消費性能に及ぼす影響が少ないものとして政令で定める10平方メートル以下のものは除く)。また、増改築を行う場合にも、増改築部分については省エネ基準への適合が求められる。


省エネ基準の適合義務対象 出典:国土交通省

 そもそも省エネ基準とは、建築物が備えるべき省エネ性能を確保するために必要な建築物の構造および設備に関する基準であり、「一次エネルギー消費量基準」と「外皮基準」からなる。そして、一次エネルギー消費量の算定においては、再エネ発電設備による創エネ量(自家消費分に限る)は控除される。そのため、省エネ基準を満たすうえで、太陽光発電設備を導入する効果は極めて大きいといえるのだ。


省エネ基準の概要 出典:国土交通省

 2024年4月には、同じく建築物省エネ法に基づく、新しい「建築物の省エネ性能表示制度」がスタートしている。これは、新築建築物の販売・賃貸の広告等において、省エネ性能ラベルの表示を義務づけるというもので、ここでも太陽光発電は大きなアピールポイントとなっている。2025年4月からの省エネ基準適合義務化により、屋根設置太陽光のさらなる導入が促され、省エネ性能ラベルでそれをアピールすることで、太陽光発電を備えた建築物が評価を高めるという好循環が期待される。


性能表示ラベルの記載内容 出典:国土交通省

 屋根設置太陽光は、第7次エネルギー基本計画の重点項目に挙げられており、各分野の目標が次のように定められている。「公共部門については、国が率先して、2030年に設置可能な建築物等の約50%、2040年に設置可能な建築物等の100%に太陽光発電設備を設置する」、「住宅用太陽光については、2050年において設置が合理的な住宅・建築物には太陽光発電設備が設置されていることが一般的となることを目標とし、これに至る2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」、「工場・オフィス等については、ZEBや自家消費型事業の普及拡大、省エネ法に基づく定期報告制度の活用、既存ストック対策の充実、建材一体型設備の導入等を進める」。

 ここに紹介した省エネ基準適合義務化や前述の初期投資支援スキームは、こうした方針を具体化したものであり、屋根設置太陽光への強い追い風となっていくことは間違いないだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る