検索
ニュース

太陽光&蓄電池ビジネスに変化の兆し 2025年度から始まる注目の新制度(3/4 ページ)

2025年度、屋根設置太陽光と蓄電池に関する新制度がスタートした。「FIT/FIP制度における初期投資支援スキーム」「建築物の省エネ基準適合義務化」「FIP電源併設蓄電池の系統充電の拡大」「系統用蓄電池の早期連系追加対策」、それぞれのポイントとビジネスへの影響は?

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

既認定のFIP併設蓄電池も系統充電が可能に

 再生可能エネルギーのさらなる導入拡大にあたっては、蓄電池の普及が不可欠だ。蓄電池には、電気料金の削減や災害対策のために家庭や工場・商業施設などに設置される蓄電池のほか、太陽光発電所などの再エネ電源に併設される蓄電池(再エネ併設蓄電池)と、電力系統(送配電網)に直接接続される大規模な蓄電池(系統用蓄電池)がある。このうち、再エネ併設蓄電池と系統用蓄電池について、2025年4月から新たな施策がスタートした。


系統充電が可能になったFIP併設蓄電池の充放電イメージ。1.再エネ電源からの充電、2.系統からの充電、3.蓄電池からの放電 出典:資源エネルギー庁

 まず、再エネ併設蓄電池に関しては、系統充電への規制が緩和された。対象となるのはFIP電源に併設された蓄電池(FIP電源併設蓄電池)で、敷地内の再エネ発電設備からの充電だけでなく、電力系統からの充電(系統充電)も幅広く可能となった。

 この措置は、2024年度から先行的に、同4月以降に新規認定を受けたFIP電源を対象に行われてきたが、2025年4月からは、2023年度以前に認定を受けたFIP電源についても併設蓄電池(既認定FIP併設蓄電池)への系統充電が認められることになった。この対象には、FITからFIPに移行して蓄電池を併設した案件も含まれる。


FIP制度開始以降の認定件数の推移 出典:資源エネルギー庁

 こうして系統充電が可能になったことで、蓄電池の稼働率が上がり、需給バランスの調整がより効果的・効率的に行なえるようになった。また、太陽光で発電した電力を充電して市場の高い時間帯に放電(売電)するだけでなく、系統用蓄電池のように電力市場の価格差を利用して収益を上げること(アービトラージ)もできるようになった。

 この施策の背景には、FIT電源からFIP電源への移行を促進したい狙いもある。2022年4月にスタートしたFIP制度は、再エネ発電事業者の収入が電力市場価格と連動することなどから、再エネ発電事業者に需給に応じた電力供給を促すことができる。経済産業省では、FIPを「再エネの電力市場への統合の鍵」と位置づけており、「将来的には全再エネ電源のFIP移行が望ましいが、まずは一定の電源(FIT/FIP全体の約25%)がFIPに移行するまでの間、集中的に、FIP電源に係る蓄電池の活用や発電予測などへの支援を強化する」としている。

 FIP移行案件については、事後的な蓄電池設置時の価格算定ルールに対しても優遇措置が検討されており、「FIP移行+蓄電池」のビジネス環境は着実に整いつつある。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る