検索
ニュース

2040・2050年の電力需給の見通しは? シナリオ別の試算結果が公表第9回「将来の電力需給シナリオに関する検討会」(4/5 ページ)

第9回「将来の電力需給シナリオに関する検討会」において、日本の2040年および2050年の電力需給シナリオが公表された。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

電力需給バランスの分析シナリオと断面

 以上を踏まえ、検討会事務局では図7のように、電力需要(kWh)、再エネ設備容量、原子力、火力の異なる前提条件を組み合わせた計20個のモデルシナリオを設定し、夏季と冬季それぞれの昼間と夜間の計4つの断面について、電力需給バランスを分析した。


図7.電力需給バランスの分析シナリオと断面 出典:将来の電力需給シナリオ検討会

 電源の設備容量については、供給計画の調整係数等を乗じることにより、kW価値を減じている。例えば太陽光の調整係数は、夏季の昼22%・夜0%、当期の昼3%・夜0%を用いており、100kWの太陽光は夏季の昼には22kW、夜は0kWとして分析される。

kW需給バランス算定結果の例

 先述の図7で設定した20個のモデルシナリオのうち、2050年時点の需要12,500億kWh、原子力は大(3,700万kW)、火力は全て経年リプレース、という前提のシナリオ16について、夏季昼間/夜間、冬季昼間/夜間それぞれの断面のkWバランスを分析したものが図8である。他のシナリオでも計算の仕方は同じである。


図8.2050年シナリオ16(需要12,500億kWh、原子力大、火力リプレース)のkWバランス 出典:将来の電力需給シナリオ検討会

 表の最下段では、予備率13.9%を閾値として需給バランスを評価している。これは、供給信頼度基準の現在の考え方に基づき、最新の2025年度供給計画で用いられた予備率等13.9%(偶発的需給変動対応5.8%+厳気象対応5.1%+稀頻度リスク対応1%+持続的需要変動対応2%)をそのまま適用したものである。

 つまり、図8のシナリオ16の場合、夏季夜間ケースで予備率は8.6%となり、閾値13.9%を下回るため供給力不足と判断され、不足量は1,000万kWであることを表している。

 夜間は太陽光の供給力がゼロであることや、風力の調整係数が冬季31%に対して夏季10%と小さいことなどから、他のシナリオでも夏季夜間ケースが最も需給が逼迫する試算結果となっている。

 なお、最上段の「需要」(図8の夏季夜間ケースでは18,700kW)とは、kWh想定値から部門別需要特性やDRを反映し、24時間ロードカーブを作成してH3需要(夏季冬季それぞれの最大3日需要)を参照したものである。

 20個のモデルシナリオのkWバランスについて、予備率13.9%に対する超過・不足量をまとめたものが、冒頭の図1である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る