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プライム市場上場企業 2027年3月期からサステナビリティ開示基準の適用義務化へ「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWG」中間論点整理(1/5 ページ)

金融庁が2024年3月に立ち上げた「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」は、有価証券報告書における情報開示や第三者保証制度 などについての中間論点整理を公開した。

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 2023年1月の企業内容等の開示に関する内閣府令の改正により、有価証券報告書に「サステナビリティに関する考え方及び取組」の項目が新設された。加えて「従業員の状況」の項目の記載事項として、女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金差異の記載が追加されており、これらは同年3月期から適用が始まっている。


図1.改正内閣府令(2023年1月)によるサステナビリティ情報開示 出典:サステナビリティ情報開示保証WG

 有価証券報告書におけるサステナビリティ関連財務開示は、企業の将来のキャッシュ・フロー等に影響を与えると合理的に見込まれる、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する情報の開示を求めるものであり、投資判断を行う上で有用な材料となる。

 国際的にサステナビリティ情報の開示・保証が進む中、金融庁は2024年3月に「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ(WG)」を設置し、有価証券報告書におけるサステナビリティ開示基準に準拠した情報開示や第三者保証制度について検討を行い、本年7月に中間論点整理を公表した。

国際的なサステナビリティ情報の開示・保証の動向

 国際会計基準財団(IFRS財団)が設置した国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、2023年6月に、サステナビリティ関連の情報開示に関する包括的なグローバル・ベースラインとして「全般的な開示要求事項(S1基準)」及び「気候関連開示(S2基準)」を公表した。気候関連開示(S2基準)においては、Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)、Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)のほか、Scope3(Scope1、Scope2以外の間接排出)についても開示が求められている。


表1.サステナビリティ開示に関するISSB基準 出典:サステナビリティ情報開示保証WG

図2.バリューチェーンから発生するGHG排出量(Scope1,2,3) 出典:サステナビリティ情報開示保証WG

 EUでは2023年1月に企業サステナビリティ開示指令(CSRD)が発効し、企業規模に応じて段階的に、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に基づく開示が求められており、開示と同じタイミングで第三者保証を受けることも義務付けている。

 また、一貫した質の高いサステナビリティ情報の保証を提供するためのグローバル基準を開発すべきとのニーズの高まりを踏まえ、2024年11月には国際監査・保証基準審議会(IAASB)から国際サステナビリティ保証基準(ISSA5000)が、2025年1月に国際会計士倫理基準審議会(IESBA)から国際サステナビリティ倫理・独立性基準(IESSA)が、それぞれ公表されている。

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