急増するデータセンター・蓄電池の系統接続 連系の迅速化に向け制度変更を検討:第4回「次世代電力系統WG」(2/4 ページ)
経済産業省が主催する「次世代電力系統ワーキンググループ」で、データセンターや系統用蓄電池の接続検討が急増していることを受け、迅速な接続に向けた規律の強化や、系統接続ルールの見直し案などが検討された。
DC等の大規模需要家に対する規律の強化
接続供給契約の成立後、DC等の大規模需要家の都合により系統接続プロセスが停滞し、系統の容量が長期間確保された状態(空押さえ)になると、その系統容量を効率的に運用できず、真に電力が必要な需要家への供給が遅れてしまう。
この対策として、すでに発電設備では工事費負担金の入金期限が設定されていることを参照し、需要家についても同様に、工事費負担金の入金期限を設定し、期限が守られない場合は、接続供給契約における当該地点の契約申込を解除することとした。
なお、発電等設備(FIT電源)の期限は「2カ月以内」であるが、需要家は契約者(小売電気事業者等)を介して一般送配電事業者に入金すること等を踏まえ、供給承諾から「3カ月以内」とする。
また一般送配電事業者(一送)は、継ぎ接ぎによる非効率な系統設備の形成とならぬよう、最終的に必要となる需要規模に対応できる設備を、当初から設計・施工している。
一送はその費用を、需要家が毎月支払う基本料金や従量料金により少しずつ回収することになるが、基本料金は、託送供給等約款で定める「契約電力」(契約上使用できる最大電力(kW))により、決定される。
DC等の需要家が、当初、過大な最終需要規模を申込みしながらも、実際の契約電力は低いままの状態が長期にわたり継続することは、一送が適切に費用回収できないだけでなく、他の需要家がその空き容量を利用できないという、社会的に非効率な状態が発生してしまう。
よって、まずは費用回収面での対策として、需要家の電力需要の実態にかかわらず、計画当初の供給開始予定日から一定期間以内に、最終需要規模へ契約電力を引き上げることを要件化することが提案された。ただし、DCの実態が小規模なままでは、使用電力量kWhも少ないままと想定される。この場合、一送は従量料金による費用回収が十分に行えないという課題は残る。
また、契約電力を強制的に引き上げたとしても、空き容量が有効に活用されないという問題が残るため、これについても別途対策の検討が必要となる。DCは電力需要規模が数百MWと大きいため、当初計画が大きく実態との乖離が大きいほど、他の業種で空き容量を埋める(有効活用する)ことは容易ではないと予想される。
なお、すでに東電PGでは、供給開始日後3年以内に最大契約電力に達することを求め、最大契約電力に達せず、かつ協議の上変更申込みを受領した場合、減少契約電力分の系統容量を解除するとともに、過剰設備の構築に要した費用と工事費負担金(契約減少に伴う返却分)の差額を徴収することとしている。
資源エネルギー庁では、今後、制度詳細の検討を進め、2026年度中を目処に新たなルールの運用開始を目指している。
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