CCS事業法に基づくCO2貯留事業の制度検討 閉鎖後のJOGMEC移管は10年以降に:第2回「CCS事業制度検討WG」(1/4 ページ)
CO2貯留事業の許可制度等を定める法案として2024年5月に成立した「二酸化炭素の貯留事業に関する法律」。「CCS事業制度検討WG」の第2回会合では、同法に基づく貯留事業・導管輸送事業に係る規制の詳細について検討が行われた。
2050年カーボンニュートラル実現のためには、最大限の省エネとエネルギーの脱炭素化を進めることを前提としつつ、それでもCO2の排出が避けられない分野においては、CCS(CO2回収地下貯留)やCCU(CO2回収利用)の利用が不可欠と考えられている。
国の「CCS長期ロードマップ」では、2050年時点で年間約1.2〜2.4億トンのCO2貯留を可能とすることを目安としており、2024年5月には、貯留事業の許可制度等を定めた「二酸化炭素の貯留事業に関する法律」(CCS事業法)が成立した。
CCS事業法は、CCS事業の事業化フロー(探査・試掘・貯留事業)に沿って段階的に施行することとしており、2024年8月には「探査」について、2024年11月には「試掘」に係る規制の詳細が政省令にて規定され、順次施行が進められてきた。
CCS事業法の2026年全面施行に向けては、安全かつ安定的にCO2を貯留するために必要な事項である、「(1)モニタリング・漏えい防止措置」「(2)閉鎖措置・事業廃止」「(3)資金確保措置」「(4)約款の約定等に関する詳細設計の検討」を進め、政省令やガイドライン等において、その具体的内容を定める必要がある。
このため、資源エネルギー庁は新たに「CCS事業制度検討ワーキンググループ(WG)」を設置し、環境省の「海底下CCS制度専門委員会」と合同で、貯留事業・導管輸送事業に係る規制の詳細について検討を開始した。
CO2地中貯留のメカニズム
CO2は、温度31.1℃、圧力7.38MPa(73.8bar)を超えると、「液体のような高い密度」と、「気体のような低粘度・高拡散性」を併せ持つ「超臨界状態」となる。圧力100〜200bar、温度50〜100℃の深度1,000〜2,000mの地下で超臨界状態となったCO2は、地上と比べ200〜300倍の密度となり、大量のCO2を効率的に貯留することが可能となる。
特定の範囲の地下にCO2を長期間貯留し続けるためには、「十分な貯留容積と高い浸透性を有する貯留層」と、「高い遮蔽能力を有する遮蔽層」で構成された地質が必要となる。
圧入井を通じて貯留層に圧入されたCO2は、地下で物理的・化学的にトラップ(貯留)されることとなる。物理トラップの第1が「構造性トラップ」であり、緻密な遮蔽層による「お椀型」のフタにより、トラップされる。物理トラップの第2が「残留ガストラップ」であり、CO2が移動する過程で小さなバブル状になり、界面張力により岩石孔隙内に保持され、流動性を失い安定的に貯留される。
化学トラップの第1が「溶解トラップ」であり、圧入したCO2は地層水に溶け込むが、これは周囲の水よりも重く、沈下する方向で移動するため、地表への上方移動は起きず、安定的に貯留される。化学トラップの第2が「鉱物化トラップ」であり、CO2が溶解した地層水が岩石鉱物と化学反応を起こすことにより、最終的には岩石鉱物として安定的に固定される。
物理トラップは比較的早く進行するのに対して、化学トラップは時間をかけてゆっくりと進行するため、年月が経つにつれてCO2貯留メカニズムの内訳は、図4のように変化することとなる。このためCO2の地中貯留は、圧入からの経過時間が長くなるほど、貯留は安定化へ向かうと考えられている。
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