検索
ニュース

エネルギー供給構造高度化法 2040年度の非化石電源比率目標は60%に第108回「制度検討作業部会」(1/4 ページ)

一定以上の電力販売規模を持つ小売電気事業者等に対し、一定比率以上の非化石エネルギーの利用を義務付けるエネルギー供給構造高度化法。資源エネルギー庁の「制度検討作業部会」では2026年度から始まる第3フェーズを前に、事業者の足元の目標達成状況や、今後の目標水準などが検討された。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 エネルギー供給構造高度化法(高度化法)は2009年に制定され、エネルギーの安定供給及び環境負荷の低減といった観点から、全てのエネルギー供給事業者に対して、非化石エネルギー源の利用の促進を求めている。

 電力分野では、前年度の電気の供給量が5億kWh以上の小売電気事業者等(特定エネルギー供給事業者)は、非化石電源比率目標達成のための計画を作成し、経済産業大臣に提出することが義務付けられている。

 現在の高度化法では、2015年に策定された「長期エネルギー需給見通し」を踏まえ、「2030年度における非化石電源比率を原則44%以上」を目標としており、この達成を確実なものとするため、一定のフェーズごとに中間評価を行うこととしている。国は事業者ごとに到達すべき非化石電源比率(中間目標値)を毎年度定め、各社の中間目標値の達成状況等を評価している。

 今年度は第2フェーズ(2023〜2025年度)の最終年度であり、2026年度から第3フェーズが始まるため、資源エネルギー庁の「制度検討作業部会」では、第2フェーズの中間目標値の達成状況等を確認し、今後の運用等について検討を行った。

高度化法第2フェーズにおける非化石電源の増加

 高度化法では2020年度に、中間目標の導入及び第1フェーズを開始し、その時点では20%前半であった非化石電源比率は、2024年度には約31%に上昇している。また非化石電源の属性別の内訳を見ると、FIP電源の増加や原子力再稼働により、非FIT電源が占める割合が増加している。


図1.非化石電源比率の推移 出典:制度検討作業部会

 高度化法の目標達成に利用可能な非化石証書は、原則、非FIT証書のみであるため、高度化法による非FIT非化石証書ニーズの高まりが、非FIT非化石電源の増加に一定の役割を果たしていると考えられる。

高度化法第2フェーズにおける非化石証書の取引状況

 非FIT非化石証書の取引量は、高度化法中間目標値の引き上げに伴い、増加傾向にある。高度化法の目標達成に利用可能な非FIT非化石証書は、高度化法義務達成市場においても調達可能であるが、その取引の大半は相対取引により行われている。なお、ここでの相対取引には、発電と小売の双方を行う事業者の内部取引も含まれる。


図2.非FIT証書とFIT証書の取引推移 出典:制度検討作業部会

 このため、高度化法義務達成市場に売り入札される非FIT証書の量と需要のバランス次第で、その約定価格は大きく変動し、これまでほぼ全てのオークション(シングルプライス方式)で上限価格(1.3円/kWh)または下限価格(0.6円/kWh)に張り付く結果となっていた。

 ただし、2025度の第1回オークションでは、再エネ指定あり/なしのいずれの非FIT証書も、上下限価格以外で約定された。また、前年度の第1回オークションと比較すると、買入札量は大幅に増加したが、売入札量は大幅に減少した。


図3.高度化法義務達成市場の取引推移 出典:制度検討作業部会

 エネ庁は現在、相対取引の実施状況や第2回以降のオークションにおける証書供給量等に関するアンケート調査を実施中であり、今後の制度検討作業部会において2025年度の証書の需給バランスの見込み等を公表する予定としている。

 なお2022年度以降、需要家が非FIT証書(再エネ指定あり)を直接購入することも可能となり、その取引量は増加傾向にあるが、2024年度の取引量は4.6億kWh程度とまだ限定的である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る