需給調整市場の一次・二次②・複合商品 2026年度の上限価格を半減へ:第108回「制度検討作業部会」(3/4 ページ)
2024年4月から全ての商品の取引がスタートした需給調整市場。しかし一部の商品で調達費用が高騰するなど、課題も指摘されている。そこで資源エネルギー庁の制度検討作業部会では、足下の取引状況の確認などとともに、2026年度以降の対応方針について検討を行った。
2026年度以降の需給調整市場における「募集量」
2024年度の需給調整市場全商品取扱い開始と同時に発生した調整力調達費用の高騰は、一般送配電事業者や発電事業者、エネ庁等の関係者に大きな混乱をもたらすとともに、泥縄的な複数の対策が連続的に措置されてきた。このような事態の再発を防ぐため、2026年度の前日取引化を迎える前に、可能な限り対策を検討しておく必要がある。
まず需給調整市場における募集量について、現時点、三次②市場では「1σ相当」または「3σ相当に募集量削減係数を乗じたもの」のうち、小さい方を募集量として設定している。これは、市場調達と余力活用の双方を考慮したコスト最適化に近い状況を達成できる方法とされている。
実際に先述の図3で見た通り、この方式を導入した2024年11月以降、十分な総コスト抑制を図ることができているため、三次②市場ではこれを2026年度以降も継続的に適用していくこととした。
次に複合市場における募集量であるが、現時点、一次・二次①は、短周期成分は調整力不足の予見が難しいことを理由として、3σ相当を市場調達し、必要に応じて揚水発電の随意契約で確保する方針としている。現時点、北海道・東北・東京・中部・関西の5エリアにおいて、揚水随意契約が締結されている。
他方、二次②・三次①は、市場調達での確保量を最大1σに抑制し、前日12時時点での広域予備率が12%を下回る場合、3σ相当まで必要分を追加調達する「効率的な調達」を導入している。
これまで、市場・余力活用・揚水随意契約を組み合わせることにより、安定供給への支障は生じておらず、総コストも抑制できている。
このため、2026年度以降の複合市場における募集量削減策としては、制度運用を統一する観点から、一次〜三次①の全ての商品で、市場による調達量を最大1σ相当とすることとした。一次・二次①は、必要量3σとの差分は余力活用にて調達し、二次②・三次①は、これまでどおり前日12時の広域予備率が閾値を下回っていれば、不足分を余力活用にて追加調達する。
この募集量削減により、アンケート結果(図7)で表れていた一次・二次①の応札不足も緩和されると考えられる。
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