需給調整市場の一次・二次②・複合商品 2026年度の上限価格を半減へ:第108回「制度検討作業部会」(4/4 ページ)
2024年4月から全ての商品の取引がスタートした需給調整市場。しかし一部の商品で調達費用が高騰するなど、課題も指摘されている。そこで資源エネルギー庁の制度検討作業部会では、足下の取引状況の確認などとともに、2026年度以降の対応方針について検討を行った。
2026年度以降の需給調整市場における「上限価格」
現在の複合市場における応札量・約定費用の単価別分布を見ると、現在の上限価格19.51円/ΔkW・30分(=39.02円/ΔkW・h)付近にある程度の応札量が集まっており、これらの約定金額が調達費用総額にもある程度大きな影響を与えている。
複合市場については先述の通り、市場(+随意契約)による募集量を最大1σ相当とする方針が示されたが、この募集量削減だけでは十分な競争環境が整備されず、上限価格に張り付いた約定が引き続き多く残るなど、複合市場商品(旧「週間商品」)の調達コストを十分に抑制できないおそれもある。
また、先述のアンケート図6で見た通り、相対的に高単価な蓄電池が、2026年度には一次調整力への応札を大きく増やす予定としていることにも留意が必要である。このためエネ庁からは、需給調整市場の上限価格について、2026年度以降、一次〜三次①の全商品(単一・複合を問わず)で、7.21円/ΔkW・30分(=14.42円/ΔkW・h)に変更する案が示された。
図10のように、現在、大半のリソースは新しい上限価格の7.21円/ΔkW・30分(=14.42円/ΔkW・h)以下で応札しており、上限価格の変更による応札量の減少は限定的であると考えられる。
なお三次②では、応札未達となった場合、募集量削減係数により安値の応札量に応じて市場サイズが縮小する仕組みであり、過度なコスト増大に繋がる懸念は薄いため、上限価格は引き続き設定しないこととした。
需給調整市場の全商品取引開始からまだ2年弱であり、今後も多くの改善が必要と考えられる。市場参加者の意見を幅広く聞き取り、電源等の応札の障壁を取り除くなどにより、健全な競争が進むことが期待される。
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