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あらためて考える営農型太陽光発電の「これから」ソーラーシェアリング入門(73)(2/2 ページ)

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について解説する本連載。今回は農林水産省の「望ましい営農型太陽光発電に関する検討会」の経過を振り返りつつ、営農型太陽光発電の「これから」についてあらためて考えます。

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営農型太陽光発電による農業・農村の振興と食料・エネルギー安全保障の確立

 これまでの記事でも何度となく触れてきましたが、農業生産が輸入資源である化石燃料に依存しない「真の食料自給」を達成するためには、農村の豊かな自然資源を活用した再生可能エネルギーの最大限の活用が不可欠です。その中でも営農型太陽光発電は、太陽光発電の持つ特性から資源の偏在性や立地的な制約が少なく、国内において都市部や平野部から中山間地、そして離島に至るまであらゆる地域の農地を、農業生産と共生した再生可能エネルギーの生産地とすることができます。

 そして、そのポテンシャルを生かすことで社会全体として必要とされる再生可能エネルギーの供給地にもなり、それが農業・農村への新たな収益を生み経済的な豊かさの実現にもつながっていくことになります。


水田から畑地や果樹園まで営農型太陽光発電はあらゆる農業生産と共生する

 特に、太陽光発電に長らく関わってきた立場から、我が国における再生可能エネルギーの技術開発と普及拡大は「エネルギー自給の確保」という国家的な悲願の達成にあると強く感じています。長い技術開発と普及の努力の結果、太陽光発電は日本のみならず人類社会全体の主力電源の地位を獲得するに至っています。その一つの結実として、太陽光発電と同じく太陽エネルギーを私たちの暮らしに欠かせない食料とする農業と、農地において共生する営農型太陽光発電を形にすることが出来ました。

 この技術はAgrivoltaics(アグリボルタイック)として今や世界中に広まり、人類社会の普遍的な取り組みに至っていることも忘れてはならないでしょう。もはや、農業・農村は再生可能エネルギーの供給地としても欠かすことの出来ない場となり、食料安全保障とエネルギー安全保障を同時に実現することに貢献し、次世代に豊かな社会をつなぐ役割を果たすようになりました。

次世代につなぐ豊かな農業・農村の実現に向けて

 営農型太陽光発電の普及拡大を図る前段として、2023年度から不適切な事例を抑止するための規制強化が図られ、その後に食料・農業・農村基本計画や第7次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画、地域脱炭素2.0や農山漁村再エネ法の基本方針などにおいて「営農型太陽光発電の推進」が盛り込まれてきました。

 「メガソーラー規制」が政策上の重要テーマとされ、再生可能エネルギー事業の地域への裨益(ひえき)、地域との共生を強く求められるようになる中で、営農型太陽光発電はそれらを実現する先進的な事例を積み上げ続けています。今後、少子高齢化の深刻化などによる担い手のさらなる減少が不可避とされる中で、将来の世代に豊かな農業・農村をつないでいくためにも、営農型太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの導入拡大をこれまで以上に図っていくことが必要になると言えます。

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