太陽光発電所の氷雪事故、9割以上が豪雪地帯で発生――NITE調査:太陽光
製品評価技術基盤機構(NITE)が太陽光発電所で多発する氷雪による電気事故について注意喚起を実施。調査によると、2020年度から2024年度の間に62件の電気事故が発生しており、そのうち9割以上が豪雪地帯で発生しているという。
製品評価技術基盤機構(NITE)は2025年11月20日、太陽光発電所で多発する氷雪による電気事故について注意喚起を実施した。NITEの調査によると、2020年度から2024年度の間に62件の電気事故が発生しており、そのうち9割以上が豪雪地帯で発生していることが分かったという。
都道府県別に見ると、事故件数が最も多いのは、青森県、岩手県(各14件)で、次に多いのは北海道(10件)となっている。それ以外の地域では事故件数が4件以下となっており、主に日本海側で発生していた。ただし、日本海側ではなく、かつ豪雪地帯または特別豪雪地帯に当てはまらない地域でも、太陽電池モジュールや架台の破損事故、逆変換装置の故障などが報告されている。
電気事故の電気工作物別の被害件数を調査した項目では、太陽電池モジュールと架台における被害(破損事故)が9割以上と、全体の多くを占めていることがわかった。その他には、逆変換装置またはインバーターが5件、コネクター・ケーブルが3件、接続箱が2件だった。
NITEでは調査結果の他、氷雪事故リスク低減のための対応ポイントも公表している。まず、設置時にはJIS規格やガイドラインに従い、太陽電池発電所を設置する地域に対応した積雪荷重を算定し、基準を満たす架台の設計、設置を行うことを挙げている。また、パネル軒先に荷重が集中することを軽減するため、パネルの傾斜角度を大きくする、パネルから落ちた雪が軒先まで達しないよう支柱を長くするなど、パネルから落ちた雪が軒先まで達しないような架台の高さに設計することを推奨している。
積雪前の事前準備では、天気予報や発電所の監視カメラによる積雪状況などをもとにした除雪計画の策定、除雪作業のマニュアル作成、保安業務担当者との事前相談、事前点検を行うこと。雪が降る期間の対策では、監視カメラ監視や定期的な巡視点検に加えて積雪後の監視・点検、可能な範囲で積雪後に除雪することなどを挙げている。
もし太陽電池モジュールなどが破損した場合は、感電する危険性があるため、関係者以外の人が不用意に近寄らないようにする、破損したパネルを速やかに回収するなどの対策を行うこと。さらに復旧作業は、電気主任技術者などの専門知識を持つ者が適切な安全装備を身に着けた上で実施するよう注意を呼びかけている。
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