系統用蓄電池による「空押さえ」対策 契約申請の「土地取得」を要件化へ:第5回「次世代電力系統WG」(1/4 ページ)
系統用蓄電池の系統アクセス手続きが急増する中で課題となっている「空押さえ」の問題。資源エネルギー庁の「次世代電力系統ワーキンググループ」の第5回会合では土地取得を申請条件に加えるなど、その新たな対応策が議論された。
近年、系統用蓄電池の系統アクセス手続きが急増している。2025年9月末時点(※)、全国の系統用蓄電池の「接続検討」の受付は約15,000件・約16,361万kW、「接続契約申込」の受付は約2,800件・約2,260万kW、接続済は111件・約49万kWに上る(※ただし、中国エリアは「蓄電池その他」の8月末時点の数値)。
ただし、これらの接続検討申込の中には事業化確度の低い案件が多数あり、結果として系統容量の「空押さえ」状態が生じ、接続までに長い年数を要するなどの課題が顕在化している。これは、真に系統利用を希望する他の蓄電池や再エネ電源等の系統接続を妨げるおそれもある。
資源エネルギー庁の「次世代電力系統ワーキンググループ(WG)」の第5回会合では、蓄電池の系統アクセス手続きの規律強化策のほか、データセンター集積型GX戦略地域における系統容量の確保策について検討が行われた。
「接続検討」申し込み時の土地に関する書類提出の要件化
一般送配電事業者によれば、一部の系統用蓄電池事業者からは、防災公園などの公共的な土地、既に別の建物が建設中の土地や住居以外が建設できない土地など、事実上、蓄電事業の実施が不可能と思われる土地での接続検討申し込みが行われるケースもある。
このような案件の申し込みを避けるため、2026年1月以降に接続検討の申し込み及び契約申し込みを行う全ての系統用蓄電池については、接続検討の申し込み時に事業用地に関する調査結果や登記簿等の提出を要件化することとした。なお電源種間の公平性の観点から、系統用蓄電池に限らず、接続検討が必要となる全ての新設発電設備も対象となる。
今後は接続検討申込書の記載事項として、蓄電池・発電設備の設置場所における登記簿等の確認結果、所有者名、対応状況等のほか、関連書類の提出が求められる。
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