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政府機関による電力の環境配慮契約 2027年度から「総合評価落札方式」を導入へ「環境配慮契約法基本方針検討会・電力専門委員会」(令和7年度第3回)(1/5 ページ)

政府機関などが利用する電力の低炭素化に向けた施策として導入されている「環境配慮契約」。その制度設計を進める環境省の電力専門委員会で、国が調達する電力の排出係数しきい値の引き下げや「総合評価落札方式」の導入案が示された。

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 国の機関や地方公共団体等は、グリーン契約(環境配慮契約)を進めることが「環境配慮契約法」により求められており、「電気の供給を受ける契約」もその対象となる。

 また「政府実行計画」では、財やサービスの購入・使用に当たっての具体的な目標を掲げており、各府省庁等で調達する電力については、2030年度までに60%以上を再エネ電力、2040年度には80%以上を脱炭素電源由来の電力として、CO2排出係数の低減に継続的に取り組むこととしている。

 国や独立行政法人等の電力需要(2024年度)は表1の通りであり、契約件数は合計12,044件、電力使用量合計は約107億kWhとなっている。これは全国の販売電力量8,610億kWhの約1.2%に相当する電力量である。


表1.国等の電力契約件数・予定使用電力量(2024年度) 出所:電力専門委員会から筆者作成

 これまで、環境省の「環境配慮契約法基本方針検討会」やその「電力専門委員会」では、各府省庁や独立行政法人等が電力調達の入札に際して、仕様書に示すべき最低限の再エネ電力比率や、排出係数等を示した「電気の供給を受ける契約に係る基本方針」や「解説資料」を作成してきた。

 2025年度第3回電力専門委員会では、国等の電力調達における排出係数しきい値の引き下げや「総合評価落札方式」導入の詳細案が示された。

国の機関等の電気供給に係る環境配慮契約の状況

 現時点、国の機関や独立行政法人等が電気の供給を受ける契約における「環境配慮契約」とは、「裾切り方式」の実施とともに、仕様書等に再エネ比率を明記して調達することと定められている。

 2024年度の高圧・特別高圧における「裾切り方式」の実施状況(裾切り方式実施不可能分を除く)は、契約件数ベースで83.5%、電力量ベースで71.3%であった。


表2.裾切り方式の実施状況(2024年度、高圧・特別高圧) 出典:電力専門委員会

 これまでも独立行政法人等は国の機関と比べ低めであったが、これは国立研究開発法人や国立大学、病院等の電力需要の大きい機関において未実施が多いことが要因と報告されている。これを府省庁別に見ると、同じ理由により、文部科学省や厚生労働省では6割程度の低い実施率となっている。裾切り方式を未実施の機関・施設はすべて環境省HP上で名称等が公開されている。

 裾切り方式の未実施理由としては、「応札が見込めない・入札参加者が少ない・不調・不落」が約半数、次いで「経費削減・安価な契約等」が約14%となっている。

 また、「仕様書等に再エネ比率を記載」した割合は、国の機関では約67%、独立行政法人等で約16%と、ここでも大きな差異が生じている。仕様書等に再エネ比率を未記載の理由としては「入札参加者が減少するため」、「価格が高い/経費削減を優先したため」などが挙げられている。

 環境省では、電気供給契約ごとの排出係数(2023年度実績)を調査したところ、環境配慮契約を実施した施設では未実施の施設と比べ、排出係数が低いことが確認された。排出係数の低下分を予定使用電力量に乗じて得られたCO2排出削減量は全国合計で146,676tであり、環境配慮契約の実施による定量的な環境負荷の低減効果が初めて確認された。


表3.環境配慮契約の実施状況別の平均排出係数 出典:環境配慮契約法基本方針検討会

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