政府機関による電力の環境配慮契約 2027年度から「総合評価落札方式」を導入へ:「環境配慮契約法基本方針検討会・電力専門委員会」(令和7年度第3回)(2/5 ページ)
政府機関などが利用する電力の低炭素化に向けた施策として導入されている「環境配慮契約」。その制度設計を進める環境省の電力専門委員会で、国が調達する電力の排出係数しきい値の引き下げや「総合評価落札方式」の導入案が示された。
排出係数しきい値・基準値の引き下げ
現行の電気の環境配慮契約では「裾切り方式」を採用しており、その最も重要な評価項目の一つとして、一定のCO2排出係数をしきい値として設けている。この排出係数しきい値は、小売電気事業者が入札に参加するにあたり最低限満たすべき水準として設定されており、これを上回る小売電気事業者は、実質的に入札に参加することが出来ない。「最低限満たすべき水準」という趣旨を踏まえ、多くの小売事業者が入札に参加可能な水準としながらも、国の削減目標との整合性を図るため、少なくとも2年に1回の見直しを行いながら、逓減させていくこととしている。
現在のしきい値は、事業者の予見性確保の観点から、「第6次」エネルギー基本計画・エネルギーミックスでは2030年度の国全体のCO2排出係数を0.25kg-CO2/kWhと想定していることを踏まえ、2030年度(2031年度契約)のしきい値0.310に向けて、ほぼ直線的に引き下げていく方向性が示されている。
今年度の電力専門委員会では、2026年度(2027年度契約)の排出係数しきい値(事業者全体)を「0.435kg-CO2/kWh」とする案が示された。なお、後述する今後の「総合評価落札方式」では、これが評価の基準値として用いられる。
また、これまで排出係数しきい値は事業者単位で評価を行ってきたが、排出係数の低い料金メニューを持つ小売事業者の入札参加を可能とするため、メニュー別排出係数についても基準値を設けることにした。具体的には、現在の小売電気事業者の単純平均値と2030年度目標値の0.25kg-CO2/kWhの間を線形でつなぐ場合の2027年度の値として「0.342kg-CO2/kWh」とする。
「総合評価落札方式」の評価項目・基準値案
これまで国等の電気供給に係る環境配慮契約では「裾切り方式」が採用されてきたが、より多様な項目を評価しながら、より効率的に排出係数の低減、再エネの導入拡大等を促す観点から、2027年度以降、「総合評価落札方式」を導入する予定としている。
その評価点を算出する計算方式としては「除算方式」を採用予定であり、総合評価点は「(標準点+加算点)/価格」の計算式により算出される。最低限満たすべき項目及び水準を標準点(基礎点)とすることにより、実質的にこれが裾切り要件となる。
今回の電力の総合評価落札方式(除算方式)では、他の公共調達を参考として、配点及び算定式を「【標準点100点+加算点50点】/価格」とすることとした。つまり、標準点項目である「排出係数」及び「調達電力の再エネ割合」で基準値を満たす場合は100点、満たさない場合は0点となる。
排出係数の基準値は先述の通り、事業者全体で0.435kg-CO2/kWh、メニュー別で0.342kg-CO2/kWhである。
「調達電力の再エネ割合」の基準値としては、2030年度調達電力の再エネ率60%以上とする政府実行計画の目標達成に向けて、2027年度調達電力の再エネ率を「50%」とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

