太陽光発電協会が「地域貢献型太陽光」を表彰 「ソーラーウィーク大賞」で取り組みに脚光(2/2 ページ)
地域に愛される太陽光発電──その多様な進化を遂げた実例が数多く現れた。太陽光発電協会(JPEA)は、このほど2025年度「ソーラーウィーク大賞」の表彰式を開催。太陽光発電への逆風も吹くなか、これからの“あるべき姿”が鮮明になった。
サッカーJ2リーグ所属クラブが挑む!電気と農作物の地産地消
大賞の2件は、いずれもソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を事業の中核に据えるプロジェクトとなった。それぞれに、エネルギーの枠を超えて地域課題の解決に役立っている点が高く評価された。以下、大賞受賞者のスピーチの要旨をお届けする。
株式会社フットボールクラブ水戸ホーリーホック 執行役員 瀬田元吾氏
「この度は、このような素晴らしい賞をいただきまして、ありがとうございます。われわれ水戸ホーリーホックは、J2リーグに所属しているサッカークラブです。今年で26年目を戦っております。親会社がいない“市民型のクラブ”であり、茨城県内の15市町村をホームタウンとしています。われわれにとって、その地域の皆さんといかに向き合い地域課題の解決に寄与していくかは、非常に重要なテーマです。
茨城は農業が盛んな県ですが、耕作放棄地の増加と農家の方たちの高齢化が深刻な問題になっています。地域の皆さんとコミュニケーションをとる中で、“水戸ホーリーホックとして農業に取り組んでみよう”と考え動き出したのが2021年のことでした。そしていよいよ今年、Jリーグの助成金も活用して、このソーラーシェアリング事業をスタートしました。そこに至るまでには、ソーラーシェアリングに関わるさまざまな事業者の方々にご協力いただきました。改めて御礼申し上げます。
私たちが作った電気は、ホームタウンの一つである城里町が管理している道の駅に売電させていただいております。太陽光パネルの下で栽培する農作物は、化学肥料を使わず、ゆくゆくは有機JASの認定も取得し、オーガニック野菜をつくっていくというところを目指してまいります。そして、それを私たちのホームゲームで、地域の皆さんやサポーターの皆さんに買っていただく──つまり“電気”と“農作物”の地産地消を進めていきたいと考えています。
Jリーグには現在、J1からJ3まで60ほどのクラブがあります。それぞれのホームタウンを合わせると、日本の87%の行政とつながっていることになります。私たちの事業は茨城での小さな試みですが、全国に広げることができればいいなと思っております。また“地域のハブ”になるような、こうした取り組みを今後もしっかり続けていきたいと思っております」
農家が主役!地域の価値を創出する営農ソーラー
野辺山営農ソーラー株式会社 代表取締役 宮下博満氏
「本日は、素晴らしい賞、しかも大賞ということで、誠にありがとうございます。この賞をいただけたのも、共同事業者である生活クラブ生活協同組合さん、上田市民エネルギーさん、アグレスさん、環境エネルギー政策研究所の皆さん、その他大勢の方々のおかげだと思っております。この場をお借りして、感謝申し上げます。
わが家は農家なのですが、今回の事業は、岩や石が多くて畑にならず、父が耕作放棄していた土地が出発点でした。その土地の活用を検討していく中で、環境エネルギー政策研究所の方から“ソーラーシェアリングをやってみないか”というお話をいただき、プロジェクトがスタートしました。太陽光の売電収入のおかげで、荒れ放題になっていた土地を、きれいな畑に直していくことができました。
家族経営の農家であるため、広い畑を自分たちだけで管理するのは難しいというところもありましたが、ほうれん草栽培を大規模にやっている友人に協力してもらうことで、この問題も解決しました。その後、隣接していた土地を買い取り、敷地内の古い別荘をリノベーションして地域振興に活用する取り組みも進めています。その他にも、観光農園をやってみようということで現在計画を練っているところです。
太陽光パネルの下で農業をしつつ、これからも地域の皆さんとともに、これらの事業を発展させていければと願っています。今後とも、よろしくお願いいたします」
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