託送料金の「レベニューキャップ制度」 2026年度から物価上昇を期中反映可能に:第72回「料金制度専門会合」(3/3 ページ)
一般送配電事業者に対して一定期間ごとに収入上限を決める「レベニューキャップ制度」。電力・ガス取引監視等委員会の「料金制度専門会合」では、同制度において昨今の物価上昇を反映できるようにする制度改正に向けた検討が行われた。
物価上昇反映措置の対象費用項目と対象年度
物価等の上昇は、一般送配電事業者が行う事業の幅広い費用項目に影響を及ぼすものである。ただし、表2で示した「制御不能費用」「事後検証費用」「控除収益」は、元々、レベニューキャップ制度において翌期に調整を行う費用項目と整理されており、第1規制期間中には物価等上昇の影響を反映しないことが確認された。また、廃炉等負担金や離島等供給に係る収益、離島等供給に係る燃料費、除却損等の、制度上は物価等上昇の影響を受けない項目も対象外とする。
よって、これらを除いたOPEX、CAPEX、その他費用、次世代投資費用が、物価等上昇反映(制度措置)の対象となる。
ただし、レベニューキャップ制度では、元々、CAPEX投資額のうち、第1規制期間中に竣工し費用計上されるもののみが、第1規制期間の収入上限に算入されているため、物価等上昇が期中反映される対象もこの限りとなる。
なお、住宅着工件数の低下に伴う電力需要の減少や、データセンター等の大規模需要の新設等による拡充工事など、送配電事業を取り巻く環境は大きく変化しており、一般送配電事業者(一送)では投資計画の見直しを進めている。
よって、物価等上昇反映(制度措置)の対象とする投資量については、一送各社において見直しされた投資量実績値とする。
また、物価等上昇による影響は第1規制期間の初年度である2023年度からすでに生じていることは表1から明らかであるが、仮に制度措置の対象を2023年度まで遡ると、消費者が負担する託送料金へ与える影響が大きくなることが懸念される。
このため、物価等上昇反映(制度措置)の対象年度は、2026年度及び2027年度の2年間に限定することとした。なお、物価等上昇の反映はすべての一送が行わなければならないものではなく、期中調整を行うことを希望する一送が、期中調整の申請を可能とするものである。
第2規制期間に向けた検討課題
2028年度から開始される第2規制期間については、物価等上昇への対応方法をあらかじめ制度に組み込んでおくことが求められる。
例えば第1規制期間では、収入上限の算定における参照期間を至近5年間の平均値としたが、この方式では直近の物価等の上昇を十分に反映できないおそれもある。また、そもそも規制期間中に期中調整を実施しない方式では、一送のキャッシュフローへの影響が大きいだけでなく、翌期調整時点での調整額が大きくなり、託送料金の値上げ幅も大きくなることが懸念される。
この対応策の案としては、物価や金利等の外生的要因の変動については、一定の期間ごとに(例えば毎年度)、自動的に託送料金に反映させる方式が想定される。ただしこの方式の場合、託送料金の変動と同時に、小売料金も定期的に変動することに留意が必要である。
送配電事業や関係する電気工事事業を持続可能なものとすると同時に、小売事業者や消費者等の負担にも配慮した検討が求められる。
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