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電力の「供給信頼度評価」の課題とは? EUEと予備率の関係性を読み解く:第116回「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」(3/3 ページ)
電力の供給信頼度の評価指標として用いられている「EUE」と「予備率」。しかし実際の評価においては、矛盾するケースも生じている。そこで広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、評価方法によって差異が生じる理由や、2つの指標を使うことの適切性について検討が行われた。
供給力の大小の違いによるEUEの変動の違い
EUEは供給力の増減に対応して直線的に上下するものではなく、供給力が少ない状態であるほど、単位当たりの供給力の変化に対して、EUEは大きく上下するものである。図6左上のように供給力が多い場合は、供給力が1単位減少しても停電量の増加はわずかであるが、図6左下のように供給力が少ない場合、供給力が1単位減少すると、停電量(赤い面積)は大きく増加することとなる。
このような特徴が、供給力の増減がEUEの数値の大小として直感的に捉え難いことの一因となっている。
2つの評価手法を使うことの妥当性
以上より、供給計画におけるEUE評価と予備率評価では、評価対象となる供給力や供給信頼度基準が異なること、評価断面の違いにより連系線混雑の影響の生じ方が異なることなどが確認された。
また、現状の供給信頼度評価は以下のようなさまざまな目的に応じて実施されており、電源入札や供給力公募等の追加供給力対策を実施するか否かの判断基準として、異なる2つの評価手法を使用していること自体は妥当と整理された。
- EUE評価:厳気象H1需要に対する必要供給力を基準として8760時間における供給信頼度評価
- 供給計画の予備率評価:H3需要に対する必要供給力(偶発的需給変動分+持続的需要変動分)を基準としてH3需要断面(最大需要時)における供給信頼度評価
- 夏季・冬季の需給検証及び需給見通しの予備率評価:厳気象H1需要に対する必要供給力を基準として厳気象H1需要断面(最大需要時・最小予備率時)における供給信頼度評価
EUE評価と予備率評価の結果の違いは、その時の状況次第でさまざまであり、直感的に把握しにくいといった課題はあるが、広域機関では供給信頼度の指標および基準の在り方について今後も検討を続ける予定としている。
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