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注目集まる「次世代革新炉」 日本での社会実装に向けた開発ロードマップが公表第12回「革新炉WG」(1/3 ページ)

安全性と効率を高めた「次世代革新炉」の社会実装に向けた動きが世界的に広がっている。こうした動向を受け、資源エネルギー庁の「革新炉ワーキンググループ」は、日本における次世代革新炉の技術開発ロードマップを策定した。

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 東日本大震災からまもなく14年が経過するが、東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組むことが、今も国のエネルギー政策の原点とされている。

 第7次エネルギー基本計画では、DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中で、再エネや原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源の最大限活用という方向性が提示されたが、現時点、既設炉の再稼働は15基に留まる。


図1.国内原子力発電所の現状 出典:革新炉WG

 抜本的な安全対策の一つとして次世代革新炉が注目されており、資源エネルギー庁の「革新炉ワーキンググループ(WG)」第6回会合(2022年11月)では、次世代革新炉の各炉型(革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉、フュージョンエネルギー)の研究開発を進めていく上での目標時期を示した革新炉開発の技術ロードマップが策定された。


図2.次世代革新炉導入に向けた技術ロードマップ 出典:原子力小委員会

 第7次エネルギー基本計画では、廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での次世代革新炉への建て替えを対象として具体化を進めていく方針が示されたこと等を踏まえ、革新炉WG第12回会合では、技術的側面のみならず社会実装に向けた課題も考慮した次世代革新炉の開発ロードマップが取りまとめられた。

 なお、開発ロードマップは炉型ごとに作成されているが、規制当局との対話やサプライチェーンの維持、人材育成、国民理解の醸成に向けた広報活動等は、いずれの炉型にも共通する課題として捉えられている。

「革新軽水炉」の開発ロードマップ

 革新炉WGにおいて「革新軽水炉」とは、既設の原子炉(PWR及びBWR)の設計をベースに、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ強化した安全対策を設計段階から組み込み、より高い安全性を追求した軽水炉、と定義される。

 革新軽水炉については、2022年の技術ロードマップ策定以降、政府支援を活用しつつ、民間事業者において実用化に向けた技術開発が進捗し、技術面では社会実装の段階にあるとされる。今後は具体的な建替プロジェクトの創出が鍵となるが、実際の建替に進むには、革新軽水炉のユーザーとなる発電事業者による投資決定が必要である。

 民間事業者の投資決定を後押しするためには、政府が「原子力の見通し・将来像」を示すことが重要であり、立地自治体等の理解、事業環境整備、サプライチェーン、人材の維持・強化については、官民協力して取り組みを進めることが必要とされる。


図3.革新軽水炉:社会実装にむけた開発ロードマップ 出典:革新炉WG

 革新炉WGでは事業者等からのヒアリング等を踏まえて、仮に事業者による投資決定が行われた場合のロードマップを仮定しており、図3の各矢印の期間はある程度の幅を持つものである。また実際に建設を行う場合の運転開始時期等は、立地地域の理解確保を前提に、事業者の策定する具体的な計画に基づいて決定される。図中の黒矢印はプロセスフロー間の前後・影響関係を表現するものであり、その位置が実時間のタイミングを示すものではない。なお、これらの注釈は他の炉型にも共通であるため、以下では省略する。

 ロードマップの実現に向けた今後の方向性として、政府は一定の定量的な原子力の見通しや将来像を示すべく、原子力小委員会で検討を進めることとした。また革新炉等の長期・大規模な電源投資に対して、政府の信用力を活用して融資を行うなど、民間金融を量的に補完する方策を含め、資金調達の円滑化に向けた事業環境整備を進める。

 革新軽水炉への建て替えに関し、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、政府も前面に立って取り組むこととしている。また、事業者は設置許可申請の準備に向けた規制当局との具体的な技術的対話を進めるとともに、政府は許認可のために必要となる実証データの取得等を支援する。政府は、研究開発支援の対象を中長期的に採用されることが期待されるテーマに絞り込み、継続的に支援する。

 なお、ロードマップの実現に向けたこれらの対応の多くは、他の炉型にも共通するため、以下の炉型では省略する。

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