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2026年度から容量市場の指標価格と約定方式を変更 目標調達量も増加へ第112回「制度検討作業部会」(3/3 ページ)

約定価格の上昇や供給信頼度の確保などが課題として指摘されている容量市場。資源エネルギー庁の第112回「制度検討作業部会」ではこれらの対策として、容量市場の指標価格の引き上げに向けた検討や、同市場における目標調達量に関係する諸元の見直しが行われた。

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目標調達量に係る諸元の見直しと再算定を実施

 広域機関では、再エネ大量導入を踏まえた供給信頼度評価として確率論に基づくEUE評価を元に、容量市場の必要供給力の考え方や供給計画・需給検証での需給バランス評価の整理を進めてきた。広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、容量市場の目標調達量に係る以下の諸元について見直しや、至近の実績等に基づく再算定が行われた。

見直し1:春季・秋季における厳気象対応分の算出方法

 EUEによる需給バランス評価について、現行のEUEツールは月単位(12断面)で評価を行う仕様である。ただし、近年の気候変動の進行に伴い、従来は端境期(軽負荷期)とされてきた春季・秋季においても、月の前半・後半で需要傾向の違いが大きくなってきているため、算定断面を月の前半・後半に細分化することで、より精緻な評価ができると考えられる。

 これまで春季・秋季の厳気象対応分の必要量は夏季・冬季と比べて小さく、補修調整などの範囲で対応可能であったため、6カ月平均値を採用していたが、直近の試算では必要量が大きくなり、ばらつきも大きくなっていることが確認された。


表2.春季・秋季厳気象対応分の見直し(平均値から各月値へ変更) 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

 このため、春季・秋季の厳気象対応分については、各月前後半で算出した値それぞれを採用することとした。他方、夏季・冬季の厳気象対応分については、厳気象H1需要の最大1断面に対応する値であるため、前後半の細分化によって算出結果は変化しない。

 なお、EUEツールを改修するには2027年度まで掛かるため、2026年度は簡易的評価(前後半それぞれで厳気象対応分を算出して平均化)を行うこととした。2026年度に簡易的評価を適用する場合、従来手法と比べ、春季・秋季の厳気象対応分の減少に伴い、追加設備量が減少することが主な要因となり、目標調達量は265万kW減少する試算結果となった。


表3.容量市場 目標調達量の試算結果(2026年度簡易的評価) 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

見直し2:EUE算定向け計画外停止率の更新

 現在、供給信頼度評価に用いている「EUE算定向け計画外停止率」は、2019年度から2021年度の実績より算出した結果を適用しているが、3年周期で見直すこととしている。このため、広域機関では2022年度から2024年度の実績を集約・分析し、この見直しを行った。

 なお、この「EUE算定向け計画外停止率」とは、同時同量上のトラブル等による計画外停止率とは異なる概念であり、供給計画時点から実需給までの供給力減少量を意味するものである。


表4.EUE算定向け計画外停止率の見直し結果 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

 また、自然災害のうち計画外停止量が極めて大きくなる大規模災害による停止・抑制は、計画外停止率から控除しており、今回の調査では2022年度の福島県沖地震と2023年度の能登半島沖地震が控除対象とされた。

 表4のEUE算定向け計画外停止率の見直し(増加)により、偶発的需給変動対応分が増加する結果となった。偶発的需給変動対応分の増加は、確定論的必要供給力の差分として確保される「厳気象対応」分を減少させる。また、偶発的需給変動対応分の増加は、春秋の停止可能量を増加させるため、追加設備量は減少する。今回の場合、全体の増減合計として目標調達量は87万kW減少する試算結果となった(表5の上段)。


表5.2025年度容量市場メインオークション(対象実需給年度:2029年度)の諸元を用いた試算結果 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

図3.EUE算定向け計画外停止率の見直しによる目標調達量の変化 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

見直し3:年間計画停止可能量及び追加設備量

 現在の年間計画停止可能量の月換算「1.9カ月」については、2019年度供給計画における計画停止量から整理されている。しかしながら、2020年度以降、年間計画停止量は増加傾向であり、2025年度供給計画諸元での確認の結果、年間計画停止量は2.02カ月と1.9カ月に収まっておらず、複数の月において、計画停止可能量を超える計画停止量が計上されており(図4の濃い青色部分は停止量が必要供給力に食い込んでいる部分)、必要供給力を満たせないことが確認された。これを踏まえて、年間の計画停止可能量の基準を見直す場合、基準は2.46カ月となり、追加設備量は1,174万kW増加する。


図4.2025年度供給計画諸元における計画停止量の確認及び新たな基準の試算 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

 至近3カ年(2023〜2025年度)の供給計画諸元に基づき、新たな基準の試算を行った結果、3カ年平均で2.4カ月程度の基準となった。EUE算定断面の細分化により、スタッキングレシオ(大小さまざまな停止計画を組み合わせる余裕分)確保のために必要な年間計画停止可能量がさらに増加することも考えられるが、まずは年間計画停止可能量「2.4カ月」を確保するための追加設備量を算定することとした。


表6.各年度供給計画における確認結果 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

先述の「見直し2:計画外停止率の増加」と、「見直し3:年間計画停止可能量」(表6)の両方を反映すると、容量市場の目標調達量は850万kW増加する試算結果となった(先述の表5の中段)。

 以上より、

  • 見直し1:春季・秋季厳気象対応分につき、月を前半・後半等に細分化
  • 見直し2:EUE算定向け計画外停止率を、2022〜2024年度実績に更新
  • 見直し3:年間停止可能量を2.4カ月に見直し及び追加設備量を更新

の算定結果をもとに試算すると、目標調達量は2025年度メインオークション基準で、18,997万kWから19,581万kWへ、584万kWの増加となった。

 これらの見直しはいずれも、2026年度実施(2027年度実需給)の追加オークション及び2026年度実施(2030年度実需給)のメインオークションから適用予定としている。


表7.2025年度容量市場メインオークション(対象実需給年度:2029年度)の諸元を用いた試算結果 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

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