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太陽光発電の保安規制で新方針 構造安全性の確認制度を強化へ第34回「電力安全小委員会」(3/3 ページ)

経済産業省の電力安全小委員会は、太陽光発電設備の事故原因や現状の保安上の課題を踏まえ、今後の対応の方向性について取りまとめを行った。構造設備について第三者機関による事前の適合確認を義務付けるなど、確認制度を強化する方針だ。

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太陽光発電設備に対する現在の保安規制

 太陽光発電設備の支持物は、風雨による飛散事故や積雪による倒壊事故を防止する観点から、適切な構造で施設されることが重要である。

 電気事業法では、出力10kW以上の太陽光発電設備については、設備容量にかかわらず、技術基準に適合するよう維持することが義務付けられている。また、出力2,000kW以上の太陽光発電設備については工事計画の届出を義務付けており、経済産業省が当該届出に添付される支持物の構造図や強度計算書等を確認することで、着工前に設計の適切性を担保する仕組みとしている。


図5.太陽光発電設備に関する現在の規制体系 出典:電力安全小委員会

 また経済産業省では、随時に電気工作物を設置する事業場へ立入検査を実施しており、技術基準の適合性を確認し、必要に応じて設置者に対して保安管理の改善や設備の補修等を指導している。2022年からは、民間の専門機関である構造耐力評価機構が経産省の立入検査に同行し、支持物の構造等についての助言を行っている。民間専門機関を伴う立入検査のうち、支持物等にかかる構造計算書の許容応力度設計に関する指摘がなされた割合は、5割から8割に上る。

 また、2022年の電気事業法改正により、基礎情報の届出や使用前自己確認の結果届出が義務付けられた小規模事業用電気工作物(10kW以上50kW未満)を対象として実施されている保安管理状況調査においても、構造計算書等の存在を確認できなかった事業場が約3割であった。

 こうした状況を踏まえると、支持物等の事故を防止するためには、設備の構造安全性について、より一層、土木建築の専門的な知見を踏まえた対応が必要とされている。


図6.設備の構造安全性に関する取組状況 出典:電力安全小委員会

太陽光発電設備の構造安全性の確認制度の強化

 現行制度では、2,000kW以上の設備については、構造安全性も含めた技術基準の適合性を工事計画の届出の際に国が審査しているが、2,000kW未満の設備については、設置者による自己確認のみとされている。

 設計不備による事故を防止し、安全性を更に向上させる観点から、今後は2,000kW以上/未満のいずれについても、土木建築の専門性を有する第三者機関が、構造に関する技術基準への適合性を工事前に確認する仕組みを設けることとした。


図7.太陽光発電設備に関する新たな規制体系のイメージ 出典:電力安全小委員会

 ただし、小規模な太陽光発電設備は非常に案件数が多いため、導入が円滑に進められるよう、第三者機関の確認に加えて、適切な構造安全性を有する設備に関する民間認証制度や規格を活用した標準化などの環境整備も併せて図る予定としている。

 なお既設の太陽光発電設備であっても、リパワリングなどに当たって、構造安全性に影響を及ぼす設備変更を行う場合は、安全確保のため、新たな確認制度の対象となる。

ペロブスカイト太陽電池に対応した技術基準の明確化

 ペロブスカイト太陽電池は、第7次エネルギー基本計画において2040年までに約20GWの導入が見込まれている。その軽量で柔軟な特長を生かし、建物の屋根・窓・壁面等の多様な設置形態が想定されているが、現在はペロブスカイト太陽電池についても、従来の太陽光発電設備と同様の技術基準に適合する必要がある。

 このため、NEDOでは実態に応じた安全な施工や維持管理の方法を検討し、ペロブスカイト太陽電池をはじめとする「フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン」を作成し、2026年3月18日に公開した。

 ペロブスカイト太陽電池は、軽量で取り扱いしやすいが、感電災害などのリスクもある発電設備の一つである。安全な施工方法のほか、今後の大量導入を見据え、設置後の保守点検や台風・地震等の災害発生時における安全な取り扱いについても、速やかに整理することが求められる。


図8.ペロブスカイト太陽電池等の設計・施工ガイドライン作成・改定スケジュール 出典:電力安全小委員会

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