検索
ニュース

大規模太陽光発電の林地開発許可基準 「残置森林率60%」に引き上げへ「太陽光発電に係る林地開発許可基準に関する検討会」(2/4 ページ)

林野庁は昨今の発電設備の急増を受け、太陽光発電の開発における林地開発許可基準などの見直しを実施。見直しの方向性などを取りまとめた検討結果を2026年2月に公表した。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

「林地開発許可制度」の概要と変遷

 森林法に基づく「林地開発許可制度」は、昭和40年代に森林におけるゴルフ場やスキー場の整備等を目的とした開発行為が急増し、災害の発生等が懸念される事態となったことを受け、昭和49年に創設されたものである。

 普通林で一定規模を超える開発行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を得る必要があり、知事は、申請の内容が「災害の防止」「水害の防止」「水の確保」「環境の保全」の4つの許可要件を満たすことについて審査し、その審査に当たっては、都道府県森林審議会や関係市町村長の意見を聴かなければならないとされている。


図2.現在の「林地開発許可制度」の概要 出典:太陽光発電林地開発許可基準検討会

 太陽光発電設備の設置を目的とした林地開発許可については、令和元年度の「太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会」及び令和4年度の「太陽光発電に係る林地開発許可基準に関する検討会」において、他の開発目的と異なる太陽光発電施設の開発態様の特殊性を考慮した検討が行われた。

 太陽光発電設備の開発の特徴としては、以下の点などが挙げられる。

  • 日当たりの良い立地であれば良いため、適地の偏在性が少ない
  • 規模の上限がなく、用地確保が可能であれば無限に大規模化し得る
  • 簡易な基礎工事のみで設置が可能である
  • 切土、盛土をほとんど行わなくても、現地形に沿った設置が可能(土地を平坦にせずとも斜面そのままに設置が可能)である
  • 不浸透性のパネルで地表の大部分が被覆されるため、雨水が地中に浸透しにくい
  • パネルの遮光によりその下の地表が長期にわたり裸地又は草地のままとなる
  • 採光を優先するため、周辺の森林は障害物として取り扱われる
  • FIT調達期間の終了後には施設が廃止される場合も想定される

 これらの特徴を踏まえ、令和元年度の見直しでは、自然斜面のまま発電施設を設置する場合の防災施設の内容や、より大規模な排水施設の計画、地表保護のための措置等が新たな許可基準として整理された。許可基準以外についても、地域住民とのトラブルが発生している状況を踏まえ、住民説明会の実施等を配慮事項として定めている。なお、「森林率・残置森林率」や森林の配置等については、令和7年度見直しの章で後述する。


図3.令和元年見直し(太陽光発電設備の設置に関する林地開発許可制度) 出典:太陽光発電林地開発許可基準検討会

 なお林地開発許可制度は、地方自治法に規定する自治事務であり、許可権者である都道府県知事が、森林法に基づき審査を行い、個々の開発行為に対して許可処分を行っている。このため林野庁は、許可基準等の制度の運用に係る内容を技術的助言として、都道府県宛てに「太陽光発電基準通知」を発出している。

 令和4年度の見直しでは、太陽光発電設備の設置に係る許可を要する規模を「1.0ha超」から「0.5ha超」に引き下げたほか、防災措置を行うために必要な資力・信用、能力を有することを証する書類を添付することを義務付ける等の見直しが行われた。


図4.令和4年見直し(太陽光発電設備の設置に関する林地開発許可制度) 出典:太陽光発電林地開発許可基準検討会

 また、林地開発許可制度の実効性の強化のため、令和7年5月に森林法を改正(令和8年4月1日施行)し、許可条件違反に対する罰則(拘禁刑又は罰金)や、開発行為の中止・復旧命令に従わない者を公表可能とする仕組みが創設された。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る