過大な営業行為が続くLPガス業界 規制の実効性強化に向けた判断基準を明確化へ:第13回「液化石油ガス流通WG」(2/4 ページ)
「無償貸与」や「貸付配管」といった商慣行が問題視されているLPガス業界。政府はこうした商習慣に対する規制の実効性強化に向け、判断基準の明確化に向けた検討を開始した。
通報フォームに寄せられた情報の事例
液化石油ガス法改正省令では、LPガス消費に関係のない費用を、消費者に不透明なかたちでLPガス料金に上乗せしている現状を是正するため、基本料金、従量料金、設備料金からなる「三部料金制」を義務付けている。また、エアコンやWi-Fi機器等、LPガス消費と関係のない設備費用をLPガス料金に計上することも禁止している。
通報フォームに寄せられた情報では、三部料金制を行っていない事例や算定根拠の開示に応じない事例などが通報されている。
また、賃貸集合住宅では、入居者は実質的にLPガス事業者を選択できず、アパートオーナー等が選択したLPガス事業者を利用せざるを得ない。このため、一部のLPガス事業者はこれまでオーナー等へ設備の無償貸与や、紹介料支払い、フリーメンテナンスサービス等の利益供与を行ってきた。これらの費用は結局、入居者がLPガス料金の中で支払うこととなる。
改正省令では、このような「正常な商慣習」を超えた利益供与を禁止しているが、一部のLPガス事業者では現在も行っており、法令を順守するLPガス事業者が顧客を奪われるなど、不公正な事業環境が続いている。
また、通報フォームに寄せられた情報では、集合住宅において1年半の間に三度にわたりLPガス料金の値上げが行われたため、事業者に対して値上げ理由の説明を求めたが、賃貸住宅であることを理由に、アパートオーナーを通さなければ対応できないとして十分な説明を受けることができなかった事例が通報されている。
改正省令では、消費者の事業者選択を阻害するおそれのある、LPガス事業者の切替えを制限するような条件付き契約締結等を禁止しているが、20年といった長期間にわたる契約期間に関する通報も多数報告されている。
LPガス商慣行の実態把握調査
資源エネルギー庁では、改正省令施行後の商慣行の実態把握を目的として、無作為に抽出したLPガス販売事業者を対象に郵送調査を実施し、回答率は約56%(230社/408社)であった。
回答LPガス事業者の約8割が、家主、オーナー、管理会社、建設会社等に対し、何らかの経済的利益を供与しており、契約期間が10年以上の長期契約や、途中解約の場合の解約金を課す等の切り替えを制限する契約も多数報告されている。
経済的利益供与の内容は、お歳暮・お中元等の贈答品が過半であるが、ここでも、フリーメンテナンスやWi-Fi等のガス消費とは直接関係の無い物品を供与する事例が多数あることが確認された。
なお、経済的利益供与を行う事例の約4割は、LPガス事業者自身が販売拡大を目的として行っているが、アパートオーナー等から強要され、やむなく応じるケースも約4割報告されている。
省令改正により、LPガス事業者は罰則の適用もある規制対象となったが、アパートオーナー等の不動産業者には何の規制・罰則も無いという不均衡な状態が続いている。一般社団法人全国LPガス協会では2025年4月に、国土交通大臣に、不動産業界における法令順守体制の強化等について要望書を提出している。
また、液化石油ガス法の第14条により、LPガス事業者は、消費者と販売契約を締結する際、LPガス料金の算定方法等の情報を記載した書面(いわゆる14条書面)を消費者に交付することが義務づけられている。
今回の実態把握調査では、三部料金制における設備料金について14条書面で具体的に明示しているとの回答が約8割であったが、貸与設備料金を0円としている供給先があるとの回答もあった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

