原油調達先の多角化も検討、中東情勢を踏まえ石油備蓄の在り方を見直しへ:第1回「石油等の供給構造の強靱化WG」(2/4 ページ)
資源エネルギー庁が新たに「石油等の供給構造の強靭化ワーキング・グループ」を設置。昨今の中東情勢の影響を踏まえ、将来の原油調達先の多角化や石油備蓄の在り方の見直しに向けた検討を開始した。
製油所の原油処理量と燃料油の国内向け販売量
国内製油所の原油処理量は、2026年4月には前年同月比で13.7%低下した。
この理由としては、
- 国家備蓄として放出された原油の中には、製油所が平時には処理していない油種も含まれており、平時に調達している中東原油の輸入量も減少したため、万が一にも装置トラブルが生じることがないよう、製油所の稼働が抑制的に行われた
- 平時には石油製品の輸出も見込んで生産を行っているが、当該月は国内安定供給を優先し、国内需要に見合った量に原油処理量を抑えた。
ことなどが、石油元売り事業者から報告されている。
5月には、国家備蓄原油の処理量が減り、中東からの原油調達量も増加したことから、原油処理量は平年並みに回復している。
原油の代替調達と石油備蓄の活用、製品在庫の活用等により、燃料油の国内向け販売量は概ね前年同月比同量が維持され、全体として必要量は確保されていたことが確認されている。
原油輸入価格への影響
日本は原油輸入の6割以上を長期契約により調達しているが、貿易統計によれば、4月、5月における日本の原油輸入単価は、前年同月比でそれぞれ37.9%、67.1%高騰した。
長期的に見ると、原油のターム契約(長期契約)価格とスポット価格はほぼ同じ水準で推移しているものの、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格高騰時(2022年5月)には、最大で5%、スポット価格がターム価格を上回った。今回のような国際的事象の発生直後は、スポット価格の方が割高になることが想定される。
また、輸送船舶のスポット契約の運賃(傭船料)は中東情勢の悪化により高騰し、2026年4月にはスポット運賃が前年同月比で約11倍に上昇した。エネ庁の試算によれば、このスポット契約運賃の上昇は1バレル当たり約9ドルとなる。
なお、政府による緊急的な激変緩和措置により、ガソリン/軽油/灯油の小売価格は3月以降、それぞれ170円/L、160円/L、140円/L程度に抑制されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

