燃料流通が懸念される「ガソリンスタンド過疎地」 重点支援すべき「地域インフラSS」を選定:「新たな地域燃料流通に関する研究会」中間とりまとめ(3/3 ページ)
地域のエネルギーインフラであるガソリンスタンド(サービスステーション:SS)の減少が続く中、「SS過疎地」とよばれるエリアが拡大している。「新たな地域燃料流通に関する研究会」は、こうした将来の燃料流通が懸念されるエリアに対する支援方針の中間とりまとめを公表した。
国・自治体などに対する災害時の燃料供給フロー
国および地方自治体などが石油組合と締結している災害時の燃料供給に関する協定は計846(2025年9月時点)に上り、全国の石油組合では、災害時を想定した緊急車両に対する「実地訓練研修」や、自治体が実施する「総合防災訓練」への参加などにより、災害対応能力の強化に積極的に取り組んでいる。
また、災害時にエネルギー系統インフラが途絶した場合、「1.自治体などの重要施設の管理者は、まずは平時の取引業者や都道府県石油組合への要請など自力での燃料調達を検討」し、困難な場合は「2.重要施設の管理者から都道府県に要請し、都道府県石油組合を通じ、地域レベルでの燃料供給を検討」する。それでも困難な場合は、「3.都道府県から国に要請し、国レベルで燃料供給を実施する」こととしている。
ところが、石油製品に限らず、多くの場合、国や自治体などは一般競争入札により供給業者を選定・契約しており、価格だけで選定する場合、域外の事業者を採択することも起こり得るため、災害時に道路寸断などにより、域外事業者は燃料供給が不可能となるリスクを抱えている。
このとき自治体などは第2段階として、地元の供給業者に供給を要請するが、平時の取引が無いため、タンク設置場所やタンク結合部の口径などを把握しておらず、円滑な燃料供給に支障が生じることも懸念されている。災害からの復旧後は、当該自治体は災害対応に尽力した石油組合や地元事業者とは契約せず、県外事業者からの調達を再開することとなる。
官公需の平時と災害時の燃料調達一体化
このような取引関係は持続可能とは言えず、災害時の地域住民などのリスクを高めるものと考えられる。
これまでも、平時と災害時の燃料調達を一体的に契約しておくことの重要性は認識されており、国からは、防災協定を締結している場合の石油組合との随意契約や、一般競争入札の地域要件設定ができることが周知されている。
さらに、国は「官公需の基本方針」を改定し、国などは災害時の燃料供給協定などで優先的に供給すべきとされている重要施設や緊急車両などについて、石油組合との随意契約を誠実に検討すること、一般競争入札の場合も災害時における優先的な燃料供給を要件設定することを、あらためて全国の自治体などに周知・依頼したところである。
また、省庁による率先垂範として、財務・外務・農水・経産4省の公用車燃料2026年度共同調達においては、平時と災害時の一体的な供給を推進する観点から、東京都石油業協同組合と防災協定を締結した上で随意契約を締結し、この事例を自治体などに通知している。
エネ庁では今後も、エッセンシャルサービス拠点としての過疎地SSの在り方や、カーボンニュートラル化も見据えた地域を支える燃料流通業の産業構造の在り方などについて、検討を深める予定としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ガソリンへのバイオエタノール導入の進捗状況 政府はアクションプランを更新へ
自動車分野の脱炭素化に向けて、ガソリンへの直接混合などの導入が検討されているバイオエタノール。政府は国内における各種取り組みの状況を踏まえ、2025月に策定した「ガソリンへのバイオエタノール導入拡大に向けたアクションプラン」の内容を更新した。
SAF供給の義務量に指針 供給率は2030年度1%、2032年度以降は5%に
航空分野の脱炭素化に向けて導入検討が進んでいるSAF(持続可能な航空燃料)について、政府が供給義務量の方針を示した。まずは国際線向け給油量上位の7空港を対象とし、SAF供給率は2030年度の1%から段階的に引上げる方針だ。
原油調達先の多角化も検討、中東情勢を踏まえ石油備蓄の在り方を見直しへ
資源エネルギー庁が新たに「石油等の供給構造の強靭化ワーキング・グループ」を設置。昨今の中東情勢の影響を踏まえ、将来の原油調達先の多角化や石油備蓄の在り方の見直しに向けた検討を開始した。

