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約7割がリスクヘッジを実施、小売電気事業者の供給力確保の現状:第4回「電力事業環境整備ワーキンググループ」(2/3 ページ)

2030年度供給計画から、小売電気事業者に対して「量的な供給力(kWh)」の確保を求める新制度の導入が予定されている。その詳細設計を進める「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計ワーキンググループ」は、小売電気事業者を対象に実施した足元の供給力確保の現状に関するアンケート調査の結果を発表した。

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小売電気事業者によるkWh調達のリスクヘッジの状況

 アンケートによれば、回答小売電気事業者356者のうち、スポット市場価格の変動などに伴う調達リスクを低減するためのリスクヘッジを実施している事業者は約7割に上る。

 代表的なリスクヘッジ手法としては、発電事業者や他の小売電気事業者との中長期(1年以上)の相対契約のほか、電力先物取引やDRが多く活用されている。

 一方、約3割の事業者はリスクヘッジを実施しておらず、調達価格の変動リスクへの対応が十分でない事業者も一定数存在する。なお、小売メニューの料金体系が市場変動タイプの場合、小売電気事業者は調達価格の変動をそのまま需要家に転嫁するため、ヘッジが不要なケースもあると考えられる。


図4.kWh調達のリスクヘッジ 出典:電力事業環境整備WG

 電力先物取引を活用している71者に着目すると、電力先物取引による自社の販売電力量のカバー割合は20%未満である者が大半である。電力先物取引の活用が一部の小売電気事業者にとどまっている背景を確認したところ、「社内体制・ノウハウが不足している」、「会計・リスク管理の負担が大きい」、「証拠金・資金負担が大きい」といった、実務面及び資金面の課題を挙げる回答が多くみられた。

 また、電力先物取引を活用している者を規模別に見ると、小規模事業者による活用が多いことが明らかとなった。これは、自社小売の事業は小規模であっても、他社への卸販売も含めた取引量は大きく、ヘッジニーズの強い事業者も含まれるためと考えられる。


図5.電力先物取引による販売電力量のカバー割合 出典:電力事業環境整備WG

小売電気事業者におけるバランシンググループの利用状況

 「需要バランシンググループ(BG)」(代表契約者制度)とは、複数の小売電気事業者と一般送配電事業者が一つの接続供給契約を結び、小売電気事業者間で代表契約者を選定する仕組みである。通常、販売電力量が多い事業者がBGの親となり、小規模事業者がBGの子として代表契約者制度・BGを活用しており、回答小売電気事業者346者のうち、93者がBGの親、164者がBGの子(うち、149者が小規模事業者)となっている。


図6.需要バランシンググループのイメージ 出典:電力の小売営業に関する指針

 BG子となる事業者は、需給管理の委託契約とあわせて卸供給契約も締結することにより、自社が販売する電気の調達をBG親に委託している場合が多い。特に小規模事業者では、BG親への委託割合が半数を超える事業者が約7割を占めるなど、kWh調達面におけるBG親への依存度が高い状況となっている。JEPXの電力取引会員数は378社(2026年7月末時点)であり、自社で直接スポット市場に参加しない(する必要がない)小売電気事業者も多数存在する。


図7.BG子がBG親に電気の調達を委託している割合 出典:電力事業環境整備WG

 このように幅広くBG活用の実態があることから、2030年度以降のkWh確保義務では、複数事業者による共同でのkWh調達を認める予定としている。この場合、個々の小規模事業者がそれぞれ独力で発電事業者と3年度前から卸供給契約を締結する必要はなく、BG親に委託すればよいため、間接的に様々なリスクヘッジのメリットが得られると期待される。

 現在、相対取引だけでなく取引所取引を通じたkWh調達環境を整備するため、「中長期取引市場」の開設に向けた詳細検討が進められているが、BG子の場合、JEPXスポット市場と同様に、そもそも直接取引所に参加する必要がない(インセンティブもない)ことに留意すべきである。

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