検索
ニュース

約7割がリスクヘッジを実施、小売電気事業者の供給力確保の現状:第4回「電力事業環境整備ワーキンググループ」(3/3 ページ)

2030年度供給計画から、小売電気事業者に対して「量的な供給力(kWh)」の確保を求める新制度の導入が予定されている。その詳細設計を進める「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計ワーキンググループ」は、小売電気事業者を対象に実施した足元の供給力確保の現状に関するアンケート調査の結果を発表した。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

量的供給力(kWh)として評価すべき確保手段の基本的考え方

 小売電気事業者がスポット市場を通じた短期的なkWh調達に過度に依存する場合、またこれが一部事業者に留まらず多くの小売事業者に広がる場合、「1.需要家に対する安定・継続した電力(kWh)の供給」「2.電力料金の急激な変動」という観点で、社会的なリスクが高まるおそれがある。

 このようなリスクを抑制することを目的として、本制度では小売電気事業者に対し、一定割合の量的な供給力(kWh)の事前確保を求めることとしている。また、本措置の導入により、発電事業者は小売電気事業者との中長期的な契約が促進され、電源投資や燃料調達を行う際の予見性向上にも資することが期待されている。

 これらの目的を踏まえると、量的供給力として評価の対象となるものは、実需給断面における電力現物(kWh)の事前の確保に直接的に繋がり、実際に需要家への供給に充当可能なものである必要がある。

kWh確保義務における電力先物の取り扱い

 ここで論点となるのが、電力先物の取り扱いである。電力先物は取引が開始された2019年以降、取引高は大きく増加しており、JEPXスポット市場の取引量に対する電力先物の取引高の比率は、2025年で約57%に相当する規模となっている。今や電力先物は、価格変動リスクのヘッジや、電力取引の価格指標として、重要な取引手法となっている。


図8.TOCOMとEEXの電力先物取引高 出典:電力事業環境整備WG

 電力先物を含め、量的供給力(kWh)として評価し得る複数の手段を比較したものが表2である。WG事務局では以下の観点から、各確保手段の評価を行った。

  • 現物電力(kWh)が事前に確保されていること
  • 実需給断面において、需要家への供給に充当可能であること
  • 転売が行われた場合にも、現物の確保が維持されること
  • 契約などにより、対象期間・数量その他の権利義務関係が明確であること
  • 履行状況の確認が可能であること

表2.評価の視点を踏まえた主な確保手段の整理 出典:電力事業環境整備WG

 この結果、現在国内で利用されている電力先物は、現物の受け渡しを伴わない取引であり、対象期間・数量に対する現物電力の確保を担保しないものであるため、kWh確保義務の履行手段として現時点では認められない、と整理された。今後、現物の供給力を確保する取引形態が整備された場合には、電力先物の取り扱いをあらためて検討する予定としている。

登録特定送配電事業者の取り扱い

 特定送配電事業者とは、自らが維持・運用する送配電設備により、特定の供給地点において小売供給又は託送供給を行う特定送配電事業について、電気事業法に基づく届出を行った事業者である。六本木ヒルズ各棟に自営線で電力を供給する六本木エネルギーサービスなどがあり、現在、42者が登録されている。

 一般の小売電気事業者とは異なる事業類型であるが、需要家に対して電気を小売供給し、電気事業法に基づく供給能力確保義務を負う点では共通しているため、登録特定送配電事業者についても量的供給力確保義務の対象とするかについて、今後検討を進める予定としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る