制度設計が進む中長期取引市場、発電事業者の供出義務期間は年4回へ:第4回「中長期取引市場検討WG」(2/4 ページ)
小売電気事業者の安定的なkWh調達環境の整備に向けて、2028年度に開設が予定されている「中長期取引市場」。第4回「中長期取引市場検討ワーキンググループ」では、「市場範囲・市場分断リスクへの対応」や「供出量を高める方策」の具体案が示された。
発電事業者の中長期取引市場への供出義務
中長期取引市場は、小売電気事業者がkWh確保義務の順守に必要な供給力にアクセスできる場として創設するものであるため、大規模な発電事業者(原則、保有する電源の最大出力の合計が500万kW以上)を対象に、販売電力量の10%以上を市場供出することを義務付ける予定としている。
実需給年度(N年度)に係る対象発電事業者の市場供出義務量は、小売電気事業者のkWh確保義務に合わせ、N-3年度(3年前商品)に義務量全体の「5/7」、N-1年度(1年前商品)に義務量全体の「2/7」とする。これにより、供出量が3年前商品・1年前商品のいずれかへ偏ることが抑制される。
なお、発電量自体は年度により増減し得るが、N-3年度時点で算定した供出義務量は、電源の廃止などの例外を除き、原則更新しないこととする。また、適切な売り入札を行ったうえで3年前商品が売れ残ったとしても、1年前商品への再入札は不要とする。
発電事業者からの市場供出義務期間は、取り引きを集中させ市場流動性を向上させる観点から、年4回(7月・9月・11月・1月)、それぞれ1カ月とする。なお、中長期取引市場自体は通年で開設しており、供出義務期間外であっても売買入札を行うことは可能である。
各期間の供出義務量は、「期間開始時点の未約定残量 ÷ 当該期間を含む残りの供出回数」の式により算定する。年間の供出必要量を100とした場合の各期間の供出必要量は表3のようになる。
中長期取引市場の市場範囲の設定
中長期取引市場はその市場範囲の設定次第で、市場の流動性(入札の集中)や入札の匿名性、市場分断の有無(値差発生)などの観点で、それぞれ相反する影響を受けるため、完全な正解というものはなく、全体バランスを取りながら、何をより重視するかが論点となる。
WG事務局では、市場の流動性(入札の集中)や売入札の匿名性を重視し、「(B)複数市場」を採用する案が示された。具体的な市場範囲(市場の個数、境界)については、市場分断率や値差の大きさなどを踏まえて今後決定する予定としている。
なお現行のベースロード市場では、市場分断率や値差発生状況を踏まえ、毎年度、市場範囲を設定しており、2026年度は、「東日本(北海道、東北、東京)」、「西日本(中部、北陸、関西、中国、四国、九州)」の2つの市場範囲として運用されており、複数市場は一定の実績のある方式であると考えられる。
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