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制度設計が進む中長期取引市場、発電事業者の供出義務期間は年4回へ:第4回「中長期取引市場検討WG」(3/4 ページ)

小売電気事業者の安定的なkWh調達環境の整備に向けて、2028年度に開設が予定されている「中長期取引市場」。第4回「中長期取引市場検討ワーキンググループ」では、「市場範囲・市場分断リスクへの対応」や「供出量を高める方策」の具体案が示された。

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市場分断リスクへの対応

 中長期取引市場の市場範囲を「(B)複数市場」とする場合、総需要量が最大となるエリアをあらかじめ基準エリアとして設定する。

 中長期取引市場で約定した電気の受渡しを、現行のベースロード市場の仕組みと同じくスポット市場渡しとする場合、売手・買手双方が、基準エリアと売手/買手エリア間におけるスポット市場のエリアプライスの価格差(エリア間値差)のリスクを負うことになる。

 また、エリア間値差はスポット市場の約定(前日10時以降)まで確定しないため、中長期取引市場の実質的な販売価格/購入価格もこの時点まで確定しないことになる。


図2.中長期取引市場のエリア間値差 出典:中長期取引市場検討WG

 エリア間値差リスクをヘッジする/値差をあらかじめ固定する方法としては、エリアスプレッド取引、間接送電権、金融的送電権(FTR)、電力先物の活用などが考えられる。これらのリスクヘッジ手段はいずれも中長期取引市場に限らず一般的な手法であり、現在日本では行われていない金融的送電権(FTR)を除いては、少なくとも部分的には実行可能と考えられる。

 現物エリアスプレッド取引は、同一期間・同一数量の電気の「売り」と「買い」を同時に成立させることで、値差を固定する取引手法であり、実質的にエリア間の値差を取引対象とするものである。よって、中長期取引市場の運営主体などが、エリアスプレッド取引の対象となる商品(エリアスワップ商品)を上場し、取引所取引の対象とすることも今後の選択肢となり得る。


図3.エリアスプレッド取引(現物)のイメージ 出典:中長期取引市場検討WG

 現在国内では、一定の値差発生が見込まれる一部の連系線・潮流方向を対象として間接送電権が商品設定されている。しかし、2年度以上前の時点では地域間連系線の空き容量を確度高く見通すことが難しいため、2年度以上前の間接送電権は発行されていない。なお、一部の諸外国で発行されている金融的送電権(FTR)は、現時点、日本では発行されていない。


図4.間接送電権、金融的送電権のイメージ 出典:中長期取引市場検討WG

 また、電力先物を用いて各エリアで売りヘッジと買いヘッジをかけることで、スポット市場におけるエリア間値差を固定することが可能となる。


図5.電力先物活用のイメージ 出典:中長期取引市場検討WG

 これらのエリア間値差リスクヘッジ手法は、表5のように整理される。ヘッジ手法は日々進歩、普及が進んでおり、ヘッジニーズの拡大自体が新たな解決策の創出につながる面もある。なお、各手法のデリバティブ該当性は、契約内容・取引形態などに応じて判断が必要となる。


表5.値差リスクヘッジ手法の比較 出典:中長期取引市場検討WG

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