ITILはITサービスマネジメント(ITSM)のフレームワークだ。2019年初めに最新バージョンである「ITIL 4」がリリースされるが、この新たなバージョンにCIOが期待できることは何だろうか?
デイビッド・ラトクリフ氏は、業界でも有数のITSM専門家といわれている。同氏は、トレーニングコンサルタント企業のPink Elephantの共同設立者で社長を務めている。ITILフレームワークの最初のバージョンに関与し、1997年には、北米初のITIL基礎コースで教べんをとった。今回のITILの最新更新には直接携わっていないが、計画には参加しており、改訂についての説明を受けている。
ラトクリフ氏は、ITILの前バージョンで不足していた点をしっかりと評価し、最新バージョンの「ITIL 4」は飛躍的に前進した、と評している。ITIL 4は、手引きとなるガイダンスの他に、IT部門のリーダーに必要なことを重点にしている。IT部門はテクノロジーやビジネスに関するとてつもなく大きな変化のときを迎えているためだ。
デイビッド・ラトクリフ氏(以下、ラトクリフ氏):ITIL 3の問題点は主にコンテキスト(ルール)と応用にあった。それはバージョン3だから問題だったわけではない。ITILの知的財産を管理する組織Axelosが『ITIL Practitioner Guidance』(ITILプラクショナガイダンス)という書籍を発行した数年前までは、ITILはプロセスとアクティビティーを中心に指導していた。コンテキストと応用に関する優先度が低かったのだ。
それまでの約20年間に大きく欠けていたのは、ITILのワークフローの応用についてだ。ITILプロセスの導入方法や、作業方法に合致するツールの構築方法、ITILに合わせて人々の働き方を変える方法が欠けていた。
実は、最初の数年でこの課題には気付いていた。だが、実際にITILに手引きとなるガイダンスを補完できていなかった。ITIL 4では、この点が大きく前進している。
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