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» 2015年10月30日 10時00分 UPDATE

IDCフロンティア×freeeトップ対談:事業成長の陰にあるもの、ビジネスイノベーションを起こす組織の条件とは?

伸び悩む日本経済、少子高齢化などで先細りする日本市場――。将来が不透明なこの時代に企業リーダーは何を指針に経営に取り組むべきか。クラウド/データセンター事業を手掛けるIDCフロンティアの中山社長と、クラウド会計ソフトスタートアップのfreee・佐々木社長が対談した。

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 アベノミクスによる景気浮上策がいったんは功を奏したかと思いきや、日本経済は再び混迷の度を強めつつある。こんな不透明な時代に企業リーダーはいったい何を指針に経営に取り組めばいいのだろうか。そのヒントを探るために、本稿では2人の若手経営者の対談をお届けする。

 一人は、会計ソフトをクラウドサービスとして提供するベンチャー企業として目下急成長を遂げているfreeeの佐々木大輔社長。もう一人が、日本を代表するクラウド/データセンター事業者として多くの企業のITインフラを支え続けているIDCフロンティアの中山一郎社長だ。両氏は事業成長における重要な着眼点として「チャレンジ」「イノベーション」、そして「ユーザー視点」の3つを挙げた。

常に変化し続けることこそがチャレンジの本質

佐々木氏: freeeは2012年7月にたった2人で創業した会社です。自分たちで一からソフトを開発するところから始まったのですが、当初は思うように開発が進まなかった上に、試用ユーザーからのフィードバックも思わしくなく、精神的にかなり辛かったです。

 私たちが目指したのは「ユーザーがデータを入力しなくても済む会計ソフト」だったのですが、既に自分で入力することに慣れきっているユーザーからすると、「いかに早く入力できるか」が評価ポイントだったのです。でも、そうした声に完璧に応えるより、とにかく自分たちのコンセプトをいったん形にして世に出すことを優先させた結果、多くの方から「こんなサービスを待っていた!」という声をいただきました。思えばfreeeは、こうしたチャレンジから出発しました。

IDCフロンティアの中山一郎社長 IDCフロンティアの中山一郎社長

中山氏: 私自身は起業や転職の経験はないのですが、所属する会社が度重なる買収をされた結果、キャリアとしては現在の会社が5社目という変わった経歴を持っています。その中で1つ分かったのは、「守りに入ると誰かにこじ開けられる」ということです。

 例えば、かつて従事していた国際通信事業は国からお墨付きをもらっていたこともあり、それまでやってきたことを続けていれば永久に安泰だと誰もが思っていました。しかし、インターネットの台頭によって、これまでの常識がある日突然、非常識に引っくり返ってしまいました。昨日と同じことをやっていては駄目で、明日は今日と違うチャレンジに乗り出さないと、あっという間に誰かに取って代わられてしまうということをこれまでの経験で学びました。

佐々木氏: 同感です。freeeでも、自分たちで未来を作る発想を止めて、同じことを続けていては、あっという間にほかのプレイヤーにシェアを奪われるでしょう。今後もずっとチャレンジを続けていかなければなりません。

 具体的に何をしたいかというと、今の会計ソフトや給与計算ソフトだけでなく、資金繰りや財務管理、業務プロセス管理も含め、スモールビジネスに携わるあらゆるバックオフィス業務を、人工知能的なアプローチも利用して自動化するサービスを提供していくことで、より日本の中小企業を元気にしていければと考えています。

中山氏: そういう意味では、「チェンジの連続」がまさにチャレンジになるのかもしれませんね。ちなみに当社が戦うクラウドビジネスの市場では、現在「ある1社vsその他」という構図が出来上がりつつあるのですが、私たちは決して「その他」の中のリーダーを目指すのではなく、あくまでも市場でトップを目指すチャレンジを続けていくつもりです。具体的な戦略の詳細は明かせないのですが、組織面で言えば「人員や稼働が足りない」という不満が現場から上がらないようにしたいですね。本当に人が足りないなら、人を取ればいい。

佐々木氏: それはよく分かりますね。私も常々、社内のリソースやスキルの制限にとらわれた発想をしてはいけないと言っています。

中山氏: でも大抵の場合、「人が足りない」というのは言い訳に過ぎず、本当の課題は別のところにあります。それに新しい人を採用するのは大変ですからね。

佐々木氏: freeeでは人を採用する際、「タケノコ人材」といって、これまでの経験より今後ののびしろを重視した人材を選んでいます。私たちはこれまでにない新たなチャレンジを常に行っていますから、経験のたがを外してまったく新たな発想ができる人を評価しています。

中山氏: 確かに、経験があればあるほど過去の成功体験にとらわれてしまいますから、これからの時代は経験がむしろディスアドバンテージになるかもしれませんね。

 当社も人材採用にはこだわっています。例えば、2015年度から「フルチャージ入社」という制度を始めました。これは中途採用者に対して、入社日から1ケ月間の有給休暇を与えるというものです。そして3カ月間の試用期間が終わったら、入社の祝い金として100万円を支給しています。これによって初出社の前に心身ともに十分リフレッシュして、まさにフルチャージの状態で働いてもらいたいという思いがあります。

自分たちが信じる価値を堅持することがイノベーションにつながる

佐々木氏: 「ビジネスの成長のためにはイノベーションが重要だ」とよく言われますが、freeeではこれを“マジカチ”というキーワードで言い表しています。これは「マジで価値がある、と自信を持って言えるか」の短縮形で、「人から何と言われようと、自分たちで本当にその価値を信じられるか」を常に問い直すための社内用語として、ミーティングやディカッションの場で頻繁に使われています。こうして過去の施策の価値を常に振り返って評価することを習慣付けることで、結果的にイノベーションが生まれるのではと考えています。あと、「アウトプット思考」も重要なキーワードです。行動を起こす前に長々と議論を続けていても、決して前には進めません。まずは発信してみて、そのフィードバックの結果をいち早く得る方が大切だと思います。

freeeの佐々木大輔社長 freeeの佐々木大輔社長

中山氏: 当社でも、「最後までやり抜く」「周囲を巻き込んで物事を進める」「自分がユーザーの立場として本当に使いたいものか常に問う」という3つの価値観を企業文化として根付かせています。自分自身が使いたいと思うものをお客さまに提供するために、周囲を巻き込みながら徹底的にやり抜く。これによってイノベーションが生まれるのだと思います。

 やるべきことはシンプルで、より多くのお客さまに選んでいただけるために、選ばれる優れたサービスをリーズナブルに提供すること。これを追求するのみです。そのためには、日本企業だからといって日本市場だけに目を向けていてはダメで、世界市場も視野に入れてボリュームを取りにいかないといけません。そうしてこそ、初めて価格競争力もついてきます。

佐々木氏: 確かに日本企業は、「日本の独自性」を重視し過ぎるきらいがありますね。私はかつてGoogleで働いていたのですが、そこで分かったことは、欧米企業は1980年代に日本企業が世界市場を席巻したころ、日本型経営の強みを徹底的に研究し、良い部分を自分たちの中に取り込んできたということです。逆に言えば、今世界中で起きているイノベーションの成果を、日本企業はもっと積極的に取り入れるべきではないでしょうか。確かにチームワークや勤勉さといった日本独自の強みもありますが、そこだけに拘泥して世界で起きているイノベーションから目を背けていては、海外勢に後れを取ってしまうような気がします。

ユーザーの要望を鵜呑みにしてはならない

中山氏: 海外企業に伍するためにはビジネススピードも重要だと考えています。当社では今、「お、速っ!」というキーワードを掲げたCS(お客さま満足)活動を展開しています。要はサービスのスピードを高めるということです。品質はもちろん重要ですが、やはりスピードが速いことは誰にとってもうれしいことですから、社内でもこれをきちんと実践できている人を評価していきたいと考えています。

佐々木氏: スピードはやはり大事ですよね。freeeでは会計ソフト業界では初となる「チャットを通じた保守サポート」を提供しています。ユーザーにとっての真の価値とは何かを考えると、文面は丁寧でも何の解決策にもならないメールがしばらくしてから届くよりも、具体的な解決策が簡潔に書かれたチャットが即座に返ってくることの方が、はるかに価値が高いはずです。

 ただし、ユーザー視点に立ったサービス開発・運用というのは、そう簡単ではないです。freeeにはユーザーから日々膨大な数の要望が寄せられるのですが、それらをそのままの形でサービスに反映させても、決して顧客満足度は上がらないのが難しいところです。大事なのは、「ユーザーが何を欲しているか」ではなく、「何に困っているか」をきちんと見極めることです。私たちはユーザーから寄せられた要望のリストを「悩みの種」と呼んでいます。このリストには、「こういう機能が欲しい」というリクエストをそのまま書いてはならず、「この要望の背景には、本当はこういう課題があるのでは」という分析がなければいけないというルールを設けています。

中山氏: 当社も近年、クラウドサービスやデータセンターの管理、設定をスマートフォンから行えるようにサービスを強化しているのですが、これもユーザーから直接要望があったわけではなく、むしろ「ユーザーは気付いていないものの、こんな機能があればきっと喜ばれるのでは」と、専門的な知見を生かしてユーザーの課題やニーズを先回りして開発したものなのです。

佐々木氏: 当社のサービスもスマートフォンに対応していますが、これもユーザーから欲しいと言われたものではありません。そもそも、会計ソフトの入力を自動化したり、チャットでサポートを提供したりといったことも、誰からも欲しいとは言われませんでしたが、いざ世に出してみると多くの方に使っていただける。やはり自分たちが信じる価値を提供し続けることが、最終的にはユーザー視点に立った製品・サービスを生み出す上で重要になってくるのではないでしょうか。

中山氏: 本日はありがとうございました。

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提供:株式会社IDCフロンティア
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2015年12月3日

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