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» 2016年04月15日 10時00分 UPDATE

事態が起きてからでは遅すぎる!:介護離職を防ぐために企業ができること

少子高齢化が進み、介護人口の増加はもはや確定路線となっている。いざ自分が家族を介護しなければならない状況に直面したら、仕事を続けることができるだろうか。実は今、介護と仕事の両立を諦め、仕事を辞めてしまう「介護離職」が問題となっている。実はこの問題、家族の個人的な問題と考えられがちだが、企業として待ったなしの“経営課題”でもあるのだ。

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企業が抱える“介護離職”のリスク

 急速に進む高齢化社会と切っても切れない「介護」の問題。2025年には国民の3人に1人が65歳以上の高齢者になると予測される。当然の流れとして、介護する側の人間も増えていく。2000年に始まった介護保険は、国民の介護負担を軽減し、支援するための仕組みであり、介護度合いに応じてさまざまな公的サービスを利用できるようになった。

 しかし、こういった制度があっても、介護と仕事を両立できず「介護離職」してしまうケースが企業では増えており、毎年10万人(※)とも言われるその数は今後も増えていくことが予想される。介護離職は特に40〜50代が多いとされるが、こうした年代層の中心が管理職やベテラン社員などである。彼らのようなビジネスの中核を担う人材が辞めてしまうのは、企業にとっても大きな痛手だ。「家族の個人的な問題」ととらえ傍観するのではなく、企業も本気で向き合い、対策を講じていかなければならない時期が来ているのである。

※出典:2012(平成24)年度「就業構造基本調査」

両立を支援するための「介護休業制度」が使われていない

 介護と仕事を両立するいわゆる「介護社員」を支援する目的で作られたのが「介護休業制度」だ。これは法で定められており、企業は社員の求めに応じて対応することが義務付けられている。だが、その利用率はわずか1割程度に過ぎず、対象者の9割近くが制度を利用していないのが現状である。

 しかも、制度を利用していない対象者の半数以上が「会社に制度がない/あるかどうか分からない」と回答しており、誰でも利用できる制度であること自体が知られていない実態が見えてくる。家族の介護はある日突然必要になるケースが多いだけに、社員は実際に介護せざるを得ない状況に追い込まれるまで何も情報を収集していないことが多く、一方、企業側も潜在的介護社員に対する制度の周知徹底に力を入れていない……という、双方の当事者意識の希薄さがそのままデータに表れているようだ。だが、介護社員がせっかくの制度を知らず、使わないまま介護離職してしまっているという現状は放置しておいて良いわけがない。

深刻な「制度があっても使えない」問題

 さらに根深いのが、制度があるのは知っているが「使えない」というケースだ。富士通マーケティングのアンケート調査によると、制度を利用していない理由として「今後、現在より休業が必要な状況が来るかもしれない」「仕事が忙しくて休めない」「今後のキャリアに影響があると感じる」といった介護休業に対する不安を示す回答が上位を占めている。確かに企業としては、社員に休まれると仕事が回らない、介護社員は支援したいものの休まれると困る、というのも本音だろう。また、介護が「いつまで続くか分からない」という点も不安を増長させる。

 実際、厚生労働省が2014年度に実施したアンケート調査では、「介護をしながら現在の勤務先で仕事を続けることができると思いますか」という質問に「続けられると思う」と回答したのはわずか2割ほど。たとえ介護休業制度などがあっても使える環境が整っていないため、介護と仕事の両立に不安を抱えた介護社員が、ギリギリの判断として離職を選ぶ様子が想像できる。

仕事継続の可能性(出典:企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル 厚生労働省) 仕事継続の可能性(出典:企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル 厚生労働省)

必要になってから取り組むのではなく、早急な対策を

 こうしたデータを見る限り、介護離職を防ぐための企業の取り組みはまさに“まったなし”の状況だが、現実は「まだ社員から要望があがっていないから」と腰が重い企業も少なくない。だが、仕事をしながら介護をしている人は全国に290万人(※1)、勤務先に伝えていない「隠れ介護」は1300万人(※2)に上ると言われている。介護は個人的な問題だから、キャリアにマイナスになるからなどの理由で誰にも相談せず1人で抱え込んでいるケースも多い。だとすると、既に自分の会社にも介護社員がいると考える方が自然だ。介護社員をサポートする体制や環境、そして職場の意識はすぐに作れるものではない。「必要になってから取り組む」では間に合わないのだ。

※1 2012(平成24)年度「就業構造基本調査」による

※2 『日経ビジネス』2014.9.22号。「隠れ介護」は日経ビジネス誌の造語。1300万人は東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部の協力を得て試算

両立支援はトップダウンで取り組むべき

 労働人口が減り、介護が増えていくことが予測される今、企業としても貴重な戦力である社員の「介護離職」を防ぐ両立支援は喫緊のテーマだ。だが、独自にさまざまな支援の制度は作ったものの、うまく浸透していないというケースも少なくない。これまで介護は「家族の問題」という意識が強かったからこそ、会社全体としての意識を変えなければ、制度だけ整えても「使われない・使いづらい」という状況から脱することができないためだ。

 そこを大きく変えるためには、トップダウンでの取り組みが欠かせない。社内報やメールなどに載せただけ、何かの“ついで”に話をするだけではなく、介護支援制度にテーマを絞って企業トップが自ら直接社員に話をする場を設ける必要があるだろう。そのよう特別な場で、会社として介護社員を支援していくという経営の意志や、制度に込めた思いを伝えることによって初めて、「介護しながらでも仕事を続けられる。仕事を辞めなくてもいいのだ」という安心感を社員に植え付け、介護と仕事が両立しやすい職場風土の醸成につなげることができるはずである。

「ワークスタイル変革」と介護支援の密接な関係

 介護支援として企業が取り得る有効な施策が「業務改善」だ。業務を効率化・システム化し、柔軟に働ける環境を整備しておくことで、いざ介護が始まっても仕事との両立がグッとやりやすくなるだろう。そもそも管理職などの業務がブラックボックス化し、「休まれると仕事が回らない」状況は企業としてリスクが高い。情報共有や業務フローの効率化を進めておくことは、日々の業務におけるメリットも多い。

 ちなみに、三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「仕事と介護の両立に関する労働者調査」によれば、仕事と介護を両立する上では、まとまった期間の介護休業よりも「有給休暇」や「半日単位、時間単位などの休暇制度」「遅刻、早退、中抜けなどの柔軟な対応」などが多く利用されているという結果が出ている。状況に応じて柔軟に働ける環境が求められているということだろう。

 さらに、柔軟に働ける環境の実現に向けては、ここ数年のトレンドにもなっている「ワークスタイル変革」も外せない。タブレットやクラウドサービス、デスクトップ仮想化技術などを活用することで、ロケーションに縛られることなく、いつでも、どこでも働けるようになる。こうしたソリューションは介護社員支援策としても有効だ。

手助け・介護について利用している制度 ※三菱UFJリサーチ&コンサルティング「仕事と介護の両立に関する労働者調査」平成25年1月実施(出所:「企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル」(厚生労働省))。回答者は、就労者(男女各1000人)のうち、本人が手助け・介護を担っているものと、介護による離職者(男女計994人)のうち、離職前に本人が手助け・介護を担っていたもの 手助け・介護について利用している制度 ※三菱UFJリサーチ&コンサルティング「仕事と介護の両立に関する労働者調査」平成25年1月実施(出所:「企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル」(厚生労働省))。回答者は、就労者(男女各1000人)のうち、本人が手助け・介護を担っているものと、介護による離職者(男女計994人)のうち、離職前に本人が手助け・介護を担っていたもの

IT活用による介護事業者への支援

 業務改善が必要なのは企業だけでなく、介護事業者も同様だ。家族の介護が必要になったときに、必要な介護サービスを使えなければ仕事との両立は難しい。ところが、介護サービスは小規模な事業者が多く、慢性的な人手不足に陥っている。業務を効率化することで、より多くの人に、質の高いサービスを届けられるようになるはずだ。

 こういった介護事業者の支援に注力しているのが富士通だ。同社のIT技術を生かし、業務改善につながるサービスを展開している。ここでは2つのソリューションをピックアップして紹介しよう。

ヘルスケアソリューション「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE LifeMark-WINCARE」シリーズ

 介護に必要な情報を一元管理できるソリューション。主治医やケアマネジャー、訪問看護師、ヘルパーなど複数の人で利用者の情報を共有できる。スマートデバイスにも対応しており、いつでもどこでも介護記録を入力、参照できるのが特徴だ。

介護予防応援システム「FUJITSU ヘルスケアソリューション RehaYell(リハエール)」

 こちらはデイサービスやサービス付き高齢者向け住宅、介護予防教室向けに健康増進や介護予防のためのレクリエーションプログラムだ。ゲーム感覚で筋力、バランス力、脳のトレーニングを行うプログラムになっており、楽しみながら介護予防、機能訓練ができる。

 こういったソリューションを活用することで、例えば、事務所に寄らずに訪問先から直行直帰できるようになる、効果的なトレーニングが行えるなど、得られる効果はさまざまだ。現場に余裕が生まれることにより、介護サービス全体の環境改善、品質向上にもつながっていくだろう。

 介護現場でのIT活用というと、センシティブな情報を扱うだけにセキュリティや情報漏えい対策は気になるところだが、富士通ではデータセンターやネットワークのセキュリティはもちろん、端末にデータを残さない、万が一紛失した場合には端末の利用を停止するといった仕組みも併せて提供することで、安心して利用できる環境を実現しているという。

 もしも明日、自分の親が倒れて介護が必要になったら――。考えたくないことだけについ先延ばしにしがちだが、介護は個人だけでなく企業、そして社会全体で向き合わなければいけない問題だ。この問題にIT技術を生かして真っ向から取り組んでいる富士通には今後、期待とともに注目していきたい。

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提供:株式会社 富士通マーケティング
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2016年5月18日