横浜中華街や「塚田農場」などで導入相次ぐ FONのWi-Fiは今なぜ支持されるのか?高まるインバウンド需要

全世界で2000万以上のWi-Fiスポットを展開するFON(フォン)。インバウンド需要が高まる中、日本でも今、さまざまな場所でFONのWi-Fiスポットが増えているのだ。本稿では、観光地として有名な横浜中華街、そして好業績で知られる居酒屋「塚田農場」などの事例を取り上げ、FONが今注目を集める理由をお伝えする。

» 2016年07月05日 10時00分 公開
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 「港町・横浜」を象徴する山下公園から南西へしばらく歩くと、色彩豊かな朝陽門(東門)が見えてきて、中国情緒あふれる風景へと一変する。

 門をくぐるとそこは、約150年の歴史を持ち、日本でも有数の観光地として知られる横浜中華街だ。現在、年間で約2000万人以上が訪れるこの地では、数年前から外国人観光客が急増している。従来から中華系地域からの旅行客は多かったが、近年のインバウンドの盛り上がりでそれ以外の国からの比率が高まっているという。「春節や媽祖祭(まそさい)などにはヨーロッパからの観光客も多く、彼らは祭の様子などをソーシャルメディアで積極的に拡散しています」と、横浜中華街発展会協同組合で教育研修広報部部長(取材当時)を務める石河陽一郎氏は話す。

 協同組合は横浜中華街にある約600店舗のうち約310店舗が加盟し、街で円滑に商業活動するためのルールづくり・催事やイベントの運営など、横浜中華街に発展に寄与する活動を行っている。

横浜中華街発展会協同組合の石河陽一郎氏 横浜中華街発展会協同組合の石河陽一郎氏

 横浜中華街では以前からインバウンド対策に力を入れていて、公式サイトの多言語(11カ国語)化対応や、英語版および中国語版のガイドマップ配布などを行っていた。ところが昨今、そうした対応だけでは不十分になってきた。増え続ける外国人観光客の声に耳を傾けると、店内や街中で「Wi-Fiが使えない」ことに対する不満が多くなってきたのだ。以前から横浜中華街近隣のコンビニエンスストアなどにWi-Fiスポットは存在していたが、「利用するための事前登録が不便」「使い勝手が悪い」などと不人気で、それほど使われていなかったのである。

 そうした外国人観光客のニーズに対して、協同組合でも手を打つべきだという議論があった。なぜなら、観光に限らず訪問客が多い横浜中華街では、元々「顧客の声を聞く」というのが基本精神としてどの店にも根付いており、常に顧客満足度の向上を大切にしてきたからだ。

 そこで協同組合では、加盟店舗を対象にWi-Fiの導入を決定。いくつかの通信ネットワークベンダーの中から最終的にフォン・ジャパン(FON)のサービスを選んだ。その理由について石河氏は「メイン画面のUI(ユーザーインタフェース)が優れているのと、何と言ってもFacebookのアカウントで簡単にログインできるため、利便性が高かったのです」と振り返る。

 さらにはFONのブランド力も採用の後押しになったという。FONは、ユーザーベースが200の国と地域に拡がり、全世界で2000万以上のWi-Fiアクセスポイントを持つグローバルWi-Fiコミュニティーで、外国人観光客にとっての認知度は高い。「自国で普段から使い慣れたWi-Fiサービスを使えることにメリットを感じる外国人観光客は多いです」と石河氏は話す。コミュニティーWi-FiというFONのビジョンにも共感したという。

 協同組合は3年ほど前から一部の店舗にWi-Fiのテスト設置を行い、2015年8月に本格運用をスタートした。その際には石河氏を中心に加盟店舗を回るなどして、Wi-Fi導入の価値を伝えていった。現在既に数十店舗に設置されており、当面は100店舗への拡大を目指す。

横浜中華街の店舗入口に貼られているFONのステッカー 横浜中華街の店舗入口に貼られているFONのステッカー

 導入効果はてき面に表れている。飲食店などでは外国人観光客の滞在時間が長くなり、彼らの多くが食べ物などの写真を撮影して、その場でFacebookやInstagramなどのソーシャルメディアへ投稿するようになった。すると、それを見た別の外国人客が店にやって来るのである。こうした様子を見て、店側も宣伝になると躍起になった。「以前は外国人客を苦手にしていた店も少なくありませんでしたが、今ではどの店も取り込みに積極的になりました」と石河氏は強調する。

 今後、協同組合では店内だけでなく、横浜中華街のメイン通りなど屋外でのWi-Fi設置も検討しているという。それによってさらに横浜中華街を訪れる観光客に対して「おもてなし」を提供できればと考えている。

Wi-Fiを通して訪日観光客とのエンゲージメントを深める

 インバウンド需要の高まりによって大きなビジネスチャンスが訪れているのは観光地だけではない。外国人観光客たちの“胃袋”をつかむべく、外食分野でもその機会創出に力を入れる企業は多い。その1社が、居酒屋チェーン「塚田農場」や「四十八漁場」などを運営するエー・ピーカンパニーだ。

 同社は創業15年弱だが、全国で直営、ライセンス形態を合せて200店舗以上を展開する成長企業である。飲食だけの枠組みにとらわれず、食品の生産(一次産業)から流通(二次産業)、販売(三次産業)に至るまでの全てを一貫して手掛ける「生販直結」という独自の六次産業化ビジネスモデルを展開するのが特徴だ。また最近では弁当事業や家庭向け小売事業など、新たな販売チャネルの拡大にも力を入れている。

エー・ピーカンパニー マーケティング本部 本部長 兼 副社長室 室長の山本芳樹氏 エー・ピーカンパニー マーケティング本部 本部長 兼 副社長室 室長の山本芳樹氏

 ただ、インバウンドに関しては、今まで同社では積極的には対応を行ってきておらず、メニューを英語や中国語で表記する程度にとどまっていた。ところが、2〜3年前から品川や六本木などの店舗を中心に外国人客が増え始めていたのを受けて、来店する外国人観光客の満足度の向上を図る方針になった。

 個人客に向けては旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」に情報を掲載して認知拡大を図るとともに、30〜60人単位のツアー団体客に対しては新たなサービスを提供することとなった。それまで同社の店舗では基本的にランチ営業をしていなかったが、その空いている時間を有効活用して、団体客に食事などを提供するサービスを2016年3月から開始したのである。旅行代理店に提案してツアーに組み込んでもらうなどして集客を強化、順調に売り上げを伸ばしていった。

 そうしたインバウンド対応に取り組む中で、もっと顧客の満足度を高めるための1つの解として出てきたのがWi-Fiの導入である。以前から外国人客の多い店舗では「Wi-Fiを利用したい」という顧客の声があった。そこで2016年4月、「宮崎県日南市 塚田農場」、「鹿児島県霧島市 塚田農場」、「北海道シントク町 塚田農場」、「四十八漁場」などの約100店舗でFONのWi-Fiスポット導入を開始したのである。

 なぜFONなのか。その選定理由について、エー・ピーカンパニーでマーケティング本部 本部長を務める山本芳樹氏は「海外でのブランド認知度の高さ」を挙げる。そのため店の入り口や看板などにFONのステッカーを貼ったり、トリップアドバイザーにFONが設置されているのを記載したりすることで、それが大きな集客効果につながるのだという。実際、ある店舗では導入してから1週間以内に約40人がFONスポットにログインするといった成果も出ている。

 実はエー・ピーカンパニーが取り組むのは店舗でのWi-Fi設置だけではない。来店した外国人の旅行客に対して、全国のFONスポットを一定期間利用できる「FONアクセスパス」を無料で提供しているのだ。「日本に滞在中、どこへ行ってもFONのWi-Fi利用が可能になるのは外国人旅行客にとって大きなメリットで、我々の店に訪れることが付加価値になります。結果的に集客にもつながると考えています」と山本氏は説明する。

 また、こうしたサービス提供によって日本で塚田農場に好印象を持った外国人旅行客が、例えば、海外店舗のあるシンガポールや中国などに帰ってからもファンであり続けて、現地の店へ足を運んでくれるような流れを作りたいと考えている。

 エー・ピーカンパニーの今後の展開としては、FONの店舗導入を促進するとともに、FONスポットにアクセスした顧客一人一人とのエンゲージメントを深めるなど、Wi-Fiによる集客だけにとどまらない、次の一手を模索していくという。

2020年に向けて顧客ニーズ高まる

 このように日本でもWi-Fiスポットが急速に増えているFONだが、上述したように全世界では2000万スポット以上に広がり、BT(英国)やDeutsche Telekom(ドイツ)、Vodafone(スペイン/イタリア)、KT(韓国)、Telstra(オーストラリア)など、各国の大手通信事業者と提携しているのが強みである。

フォン・ジャパンの金田宏代表取締役CEO フォン・ジャパンの金田宏代表取締役CEO

 また、ロンドンやリオデジャネイロといったオリンピック開催都市のWi-Fi化を地元コミュニティーやパートナー企業と共同で取り組んできた実績も持つ。当然、2020年開催の東京オリンピックに向けた都市のWi-Fi化も視野に入れている。そうした中で、「現在のインバウンド需要は追い風」だとフォン・ジャパンの金田宏代表取締役CEOは意気込む。

 とりわけ先に紹介した2つの事例のように、日本では法人顧客のニーズが高まっているため、フォン・ジャパンでも、例えば、大型商業施設をはじめとする店舗向けソリューションを開発したり、行政や自治体に向けたサービスを打ち出したりと、顧客のインバウンドビジネス拡大に向けた支援を行っている。

 具体的な成功事例として金田CEOが挙げるのが、北海道の「道の駅」へのWi-Fi導入である。道の駅とは、休憩施設と土産販売所などの地域振興施設が一体となった、国土交通省によって登録されている道路施設である。フォン・ジャパンはパートナー企業とともに北海道全域に広がる道の駅の半数に当たる45カ所へのWi-Fi導入を支援した。「道の駅SPOT」として2016年3月から順次サービスを提供開始している。アクセス直後に表示されるポータルサイトでは、周辺の交通状況や天候などをチェックすることが可能で、ドライバーなどに好評だという。

東京をカバーするFONの高密度Wi-Fiネットワーク 東京をカバーするFONの高密度Wi-Fiネットワーク

 「FONのサービスの強みはグローバル性とコミュニティー性の高さです。コミュニティーWi-Fiの先駆者として、これからも法人、個人限らず顧客にとって価値あるサービスを提供していきます」(金田氏)

 世界中で幅広いユーザーに愛されるFON。日本での存在感もこれからますます大きくなりそうだ。

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提供:フォン・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2016年8月4日

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