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» 2018年08月30日 10時00分 公開

“子育て女性”のグループも“普通”に働き高実績。ファンケル流は何が違うのか?

ファンケルでは、子育てに追われる女性たちが、高いパフォーマンスを発揮するグループの中核メンバーとして活躍している。限られた働く時間の中で、なぜグループのパフォーマンスを高く保てるのか。秘訣を当事者たちに伺った。

[PR/ITmedia]
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復職率は100% 「戻ってくるの?」とは誰も聞かない

 無添加化粧品やサプリメント、青汁、発芽玄米などの健康食品を展開するファンケル。社員973人(2018年3月期/単体)が働き、男女比はおよそ3対7。女性役員比率はここ5年で20%を下回ったことはなく、女性管理職比率も45%程度を維持する。商品ブランドの高さはもちろん、女性、外国人、障害者が働きやすい会社としても広く知られた存在だ。

 ファンケルの成長・発展には、女性の活躍が不可欠なだけに、子育てを支援する制度が充実している。子どもが12歳になるまでの時短勤務や18歳までの子ども向け手当の支給、柔軟な運用が可能な在宅勤務などがある。契約社員から正社員への登用も多く、毎年数十人規模に達する。

 産休・育休の取得実績も多く、復職率は実に「100%」。復職するのが当たり前のため、休暇を取得する社員に対して「戻ってくるの?」とは誰も聞かず、聞くとすれば、「いつからどう働くの?」だという。

 今回、チームワークの話を伺うためにお邪魔したのは、そんなファンケルの総務部 購買グループだ。同グループは、商品原価にはかかわらない間接材の仕入れを担当する。ファンケルでは化粧品・健康食品の製造から販売までを自社で一貫して行っているが、商品の製造を担当するのは関連会社のファンケル美健で、化粧品の原材料などの仕入れも同社が行っている。一方の購買グループは、ファンケル美健が扱わない間接材──例えば、広告宣伝・販促ツール、機械設備などの価格交渉や条件交渉が主な業務となる。

ファンケル グループサポートセンター 総務部 購買グループ 課長の新村彩さん。2002年新卒入社。大学時代の友人がファンケルの商品を使っていたことがきっかけとなり入社。お客様相談窓口、店舗スタッフ教育部署などを経て、3年目から人事部に配属。採用、教育に携わる中、2人の子どもの出産と育児のために2度の産休・育休を取得。12年に購買グループに異動し、16年7月から現職。時短勤務を活用し、午前4時30分起床、8時出社、午後4時30分退社。朝夕の食事の支度、弁当づくりなどの家事もこなす。 ファンケル グループサポートセンター 総務部 購買グループ 課長の新村彩さん。2002年新卒入社。大学時代の友人がファンケルの商品を使っていたことがきっかけとなり入社。お客様相談窓口、店舗スタッフ教育部署などを経て、3年目から人事部に配属。採用、教育に携わる中、2人の子どもの出産と育児のために2度の産休・育休を取得。12年に購買グループに異動し、16年7月から現職。時短勤務を活用し、午前4時30分起床、8時出社、午後4時30分退社。朝夕の食事の支度、弁当づくりなどの家事もこなす。

 体制としては総務部21人のうち購買グループは女性5人、男性1人の計6人。ファンケルの平均勤続年数は11.5年(17年度実績)と比較的長いが、購買グループも女性全員が35歳以上で、唯一の20代が男性という構成である。こうした人員構成はファンケルのほかの部署でも割と一般的なものだという。

 そうしたグループを率いる中で最も大切にしていること。それは「相手への配慮です」と、総務部購買グループ課長の新村彩さんは話す。

 「購買という仕事は、自分で何か目標を決めてガツガツ仕事をするというより、会社のいろんな部署がやりたいこと、買いたいものを、それぞれの希望に寄り添って仕入れる業務です。その仕事を進めるうえでは他部署はもとより、取引先への配慮が欠かせません。そうした相手への配慮は、グループの価値観としてメンバー全員で共有しようと心掛けています」(新村さん)

創業者の言葉を折々で活用

 相手への配慮はファンケルの信条の1つでもある。創業者の池森賢二氏は、1980年に事業を起こし、30年以上の長きにわたり、会社を成長・発展させてきた。それを通じて同氏が得た教訓・信条は、冊子や日めくりカレンダーなどにまとめられ、社員たちが常に目にすることができるようになっている。

 例えば、日めくりカレンダーの毎月22日には「取引先とは共存共栄すべきである」という言葉がある。取引先と接することが多い購買グループのメンバーは、こうした言葉の意味を汲み取りながら、ファンケルらしく行動することを心掛けているという。

 相手への配慮は、取引先や他部署だけでなく、メンバー自身の働き方にもあてはまる。子育て支援の時短勤務制度を利用しながら働く総務部購買グループの昆裕美子さんは、こう話す。

 「私も含めて、グループ内では時短を利用する女性が複数人います。ですから、常に相手のことを考えながら、できる人が、できるタイミングで、できることをやる、というのが暗黙のルールになっています。やってもらって当たり前という感覚はメンバーの誰も持っていません。皆が皆をフォローし合う体制が自然とできあがっています。私自身、時間に制限がある中で働いているからこそ、そのことをよく実感できます」

 もちろん、子育て中だから配慮が必要という意味ではない。

 「小さな子どもを育てている女性はどうしても急な休みが多くなりますが、そもそも、子どもがいない女性でも、あるいは男性でも体調不良で急な休みを取らなければならないことはあるはずです。ですから、子育て中かどうかにかかわらず、困ったときはお互いさまで、できる人がそのフォローをすればいいんです。今の購買グループは、それが自然なかたちで、できていると思います」(新村さん)

 相手への配慮は、グループとしてのパフォーマンス向上にもつながっているようだ。例えば、グループで手分けして取引先を回らなければならないようなときも、それぞれの事情を考慮して人選がすぐに決まっていく。目立たないことだが、こうした小さな意思決定の積み重ねがグループにスピードと柔軟性をもたらしている。

対面のミーティングで相手の気持ちを察する

 購買グループでは、チームワークを促進するための仕組みづくりにも力を入れており、今期から、1つの仕事をグループ数人でシェアして突然の人員不足にも対応できるようにした。また、情報が特定のメンバーに集中しないよう情報共有のためのミーティングの回数も増やしたようだ。

 新村さんによると、情報共有におけるポイントは、「対面のミーティングの中で、仕事のことだけでなく、子どもの状況や体調などを含めて雑談すること」だという。グループ内には、在宅勤務の制度を活用しているメンバーもいるが、在宅勤務中のメンバーとメールで進ちょくを共有する際にも、さまざまな雑談を交わしている。可能な限り、アナログなコミュニケーション、あるいは直接対面でのコミュニケーションを取ることで、相手の気持ちや体調の変化にも気付きやすくなり、それが相手に配慮したチームワークにつながっていくという。

 一方、ファンケルの人事評価制度も、子育てしながら働く上で大きな助けとなっている。ファンケルではプロセス重視型の評価制度を敷いておらず、人事評価は業績・成果に連動している。つまり、働く時間に制約の出る子育て中の女性であっても、しっかりとした業績・成果を出せば、公正に評価されるということである。

グループサポートセンター 総務部 購買グループの昆裕美子さん。中途入社。短大卒業後、学校推薦で不動産管理会社に入社。会計管理業務、営業事務を携わり、2008年に結婚を機に退社。事務の仕事を探す中でファンケルの商品を使っていたことがきっかけとなり派遣会社のファンケルスタッフを通じて入社。育休を1度取得し、復帰のタイミングで購買グループに配属。午前5時起床、8時15分出社、午後5時退社。家事は朝夕の食事の支度のほか、子どもが小さいため送迎も行う。 グループサポートセンター 総務部 購買グループの昆裕美子さん。中途入社。短大卒業後、学校推薦で不動産管理会社に入社。会計管理業務、営業事務を携わり、2008年に結婚を機に退社。事務の仕事を探す中でファンケルの商品を使っていたことがきっかけとなり派遣会社のファンケルスタッフを通じて入社。育休を1度取得し、復帰のタイミングで購買グループに配属。午前5時起床、8時15分出社、午後5時退社。家事は朝夕の食事の支度のほか、子どもが小さいため送迎も行う。

 そして、交渉を主たる業務にする購買グループにとっての業績目標の1つはコストダウンとなる。コストダウンというと、取引先に対する“値引き交渉”がメインの仕事と想像しがちだが、実際には、取引相手の状況を汲み取って業務プロセスの改善や見直しを行い、全体のコストを下げることが主流であるという。

 「モノを仕入れる際に、『もう少し安く!』と単純に値引きを強いたところで、それには限界がありますし、取引先に迷惑をかけるだけで、当社にとってあまりメリットはありません。ですから、何か変えられる条件やフローを見つけ出し、それをコストダウンに結びつけていくことを常に考えています」(昆さん)

 こうしたコストダウンの取り組みは、大きな成果にもつながってきた。

 「例えば、店舗の什器について、それまですべて日本で製造していたものを中国での製造に切り替えることでコストをかなり圧縮しました。このときには、専門家と一緒に中国に行き、品質を確認し、どのくらいコストが圧縮できるかを算定しました。このように、業務の改善や見直しを各所で行いながら、コストダウンの実績(数値)を積み上げていくことが、私たちのやり方なんです」(新村さん)

 このような成果の大小は、必ずしも勤務時間の長短とは連動しない。「ですから、子育ての都合で休まざるをえなくなっても、別の日に生産性を高めて数値目標を達成すればいいという割り切った働き方ができています」と、新村さんは付け加える。

メンバーに気持ち良く仕事をしてもらう

 購買グループの女性5人は10年以上在籍しているベテランが多く、課長の新村さんが女性の中では最も部署歴が浅い。ゆえに、現場業務についてはメンバーのほうが詳しいことが多いという。そうした中で、新村さんが心掛けているのは「いかにメンバーに気持ち良く仕事をしてもらうか」である。

 「立場的には、私がグループのリーダーですが、メンバーのほうが業務経験豊富で知識もあり、それぞれが自律的に動き、結果を出してくれます。ですから、支えられているのは私のほうで、マネジメントらしいマネジメントなんて実はしていないんですよ(笑)。私の役割は、自分ができることに真摯に取り組むことと、メンバーとコミュニケーションを密に取り、それぞれに気持ち良く働いてもらい、個々の力を最大限に発揮してもらうこと。そう考えています」(新村さん)

 こうした考えの下、新村さんは、「メンバーの強みを把握して、それをきちんと口に出す」「感謝の気持ちとお詫びの気持ちを素直に伝える」「自分自身がオープンマインドでいる」ということを心掛け、実践しているという。

 昆さんは、そんな新村さんの姿勢を、「どんなに忙しいときでも話し掛けにくいオーラを出さない。それだけでも十分にすごいと思います」と評価する。

 新村さんの前任の上司は、強いリーダーシップを発揮して新しいことにチャレンジし、実際に成果を出していくタイプのリーダーだった。逆に、新村さんは強い自信を持てないことを引け目に感じていて、そのことを上司からも指摘されていた。その中で課長を引き継ぐことになった新村さんは、自分なりのリーダーシップのあり方を模索し、行き着いたのが、上述した「メンバーに気持ち良く働いてもらうこと」だったという。

 「強いリーダーシップを発揮して、メンバーをグイグイと引っ張っていくのも1つのリーダーのあり方で、それができる方を尊敬しています。ただし一方で、強力なリーダーシップで、グループのメンバーが少しムりをすることもあるのではないかと思っています。ですから、私は、そうしたムリをできるだけさせずに、気持ち良く仕事をしてもらうことに集中しようと心に決めたんです」(新村さん)

 メンバー個々のスキルの高さと新村さんのマネジメントで、高いパフォーマンスを発揮している購買グループだが、未来永劫、同じメンバーで働き続けられる保証はもちろんない。そこで、グループのDNAをどう後人に伝えていくかも重要となるが、購買グループにはそのための備えもある。それは、これまでに蓄積した知見やノウハウをまとめたハンドブック「購買マニュアル」だ。

 このハンドブックには、「時間を守る」「提出物は期限前に提出する」といった細かなルールから、購買の仕事の手順やナレッジ、心構えなどまでが網羅されている。新しいメンバーが入ったときに、まとめなおしたり、項目を追加したりして、アップデートされている。いわば購買グループのDNAなのである。

 新村さんは、購買グループが会社に貢献し続けるためには、こうしたハンドブックに書かかれているナレッジを活用しつつ、DNAをしっかり次世代に引き継いでいかなければならないという。特に、心構えのような理解しにくい分野については、しっかりとコミュニケーションを取りながら伝えていきたいとしている。

自律したメンバーをしっかりと支えるのがファンケル流

 「女性が働きやすい会社」としても有名なファンケルには、女子学生の志望者も多い。その中には、「産休や育休が簡単に取得できる」「育児と仕事が両立しやすい」という意識で入社を志望する学生もいるという。

 ただ、そうした学生に対してファンケルは、「バックアップはもちろんするが、重要なことは自分の足でしっかり立って生活し、仕事をすること。自分の課題はまずは自分自身で解決すること」とアドバイスしているという。言い換えれば、自律的に仕事をするメンバーをしっかり支えていくのが、“ファンケル流のマネジメント”であるということだ。新村さんが悩んだ末に行き着いたマネジメントの流儀は、実のところ、ファンケルの流儀にも通じていたのである。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年9月12日