スマートフォンなどデジタルデバイスの進歩とともに、企業と顧客の接点もかつてない速さで多様化している。そのため、B2C(消費者向け)サービスを手掛ける企業は、ソーシャルメディア、Webサイト、アプリ、eメールなど、あらゆるチャネルに対応し、より一貫したコミュニケーションを行う必要がある。
ただ、顧客が求めていないタイミングで広告やメールマガジンを配信していると、イメージダウンや機会損失につながりかねない。B2C企業がマーケティングを行う上で重視すべき点は、「顧客のニーズに合ったコンテンツを、適切なチャネルを用いて、適切なタイミングで届ける」ことだといえるだろう。
こうした “クロスチャネルマーケティング”を行う上で、一人一人の顧客に適切なアプローチをし、マーケティングの効果を最大化するために有用なのが、アドビが提供するデジタルマーケティングプラットフォーム「Adobe Experience Cloud」の製品の1つ「Adobe Campaign」だ。
「Adobe Campaign」は、モバイル(プッシュ通知など)、電子メール、Webサイト、オフライン(ダイレクトメール)など、オンライン・オフライン問わず多様なチャネルを駆使したマーケティングに対応。キャンペーン展開の自動化、顧客プロファイルの統合、効果の測定と可視化が可能なため、顧客のニーズに応じたキャンペーンを設計できる点が特徴だ。
アドビはM&A(企業の買収・合併)を積極的に推進し、「Adobe Campaign」を含むクラウドツール「Adobe Experience Cloud」の強化を図っている。具体的には、2018年5月にECサイト構築パッケージを提供する米Magento Commerceを買収したほか、同年9月にはマーケティングオートメーション(MA)大手の米Marketoの買収を発表した。
Magento Commerceは受発注管理やデジタルコマースなどに対応したECサイト構築ツール「Magento」を展開していた。買収後、同ツールはアドビが提供するクラウドサービス「Adobe Experience Cloud」の一部となり、「Adobe Campaign」の多機能化に一役買っている。
またMarketoはリード(名刺情報)の管理とアカウントベースに強みを持つマーケティングプラットフォームを提供してきた。買収によって、これらの強みも「Adobe Experience Cloud」に組み込まれるため、アドビはあらゆる業界のB2CおよびB2B(法人向け)サービスを手掛ける企業に、トップレベルの顧客体験を実現するソリューションを提供できるようになる。
アドビは9月に開催された「Adobe Symposium 2018」の基調講演において、オーストラリアの航空会社Virgin Australia協力のもと、ビジネスパーソンの出張シーンでの体験例を紹介した。
このデモは、従来のセグメント単位でのオファーではなく「特定の個人に向けたリアルタイムで最適なオファー」による顧客体験を提供している点が特徴だ。
講演に登壇した、アドビのソリューションコンサルタント 高橋サラ氏によるデモでは、ECサイトでの航空券の購入忘れを最適なタイミングでの広告表示によって防いだり、予定より早く空港に到着し、時間を持て余した際に早めのフライトのオファーをしたり、その日に現地で利用可能なレストランの情報がメールで届いたり――といったエピソードが示された。
顧客のコンテクストに沿ったオファーを、適切なチャネルを用いて、適切なタイミングで届けることで、顧客体験を向上させているのだ。
このデモで実現可能性を見せた一人一人の「個客」へのこまやかなおもてなしの裏側で、「Adobe Experience Cloud」がどのように活用されていたのか。
ECサイトには、オーディエンスの行動を理解するためのタグが埋め込まれている。その上で、顧客の行動情報を「Adobe Experience Cloud」のタグ管理システム「Adobe Cloud Platform Launch」に集約している。
さらに、オンライン上での行動情報や、スマホ経由で取得した位置情報を「Adobe Analytics」で分析している。分析結果を踏まえて、パーソナライズされた広告を表示・配信するシステム「Adobe Target」を使って、一連のプッシュ通知や広告を最適なタイミングで配信している。
このように、サイト行動や、サービスの利用状況など、あらゆるデータをAdobe Experience Platform に集約した上で優れたマーケティングが実現する。航空券を買い忘れた際に広告が表示されたり、旅行中に利用可能なレストランの情報が届いたりといったサービスは、一連の機能を組み合わせることで実現していたのだ。
さらに「Adobe Experience Cloud」のほか、アドビが新たに開発したデータモデル管理ツール「Experience Data Model(通称XDM)」 も活用し、共通のラベルを活用したデータ管理も可能だ。同ツールは顧客のデータや行動履歴、サービス提供状況を把握する役割を果たしている。
またこのデモではアドビのAI(人工知能)とマシンラーニングを統合したツール「Adobe Sensei」も活用している。同ツールは、集約したデータを利用し、貢献度の高い顧客一人一人のサイト内の行動やリアルタイムの位置情報を分析し、「何を」「いつ」「どの手段で」オファーするのが最適かを予測・表示する機能を持つ。
一連の顧客体験を実現した「Adobe Experience Platform」(一連の機能の総称)の詳細な説明は、以下の動画からもご覧いただきたい。
“常時オンラインの時代”が到来したといわれるように、ユーザーは日々インターネットを利用し、あらゆるチャネルにアクセスし続けている。
こうした時代においてマーケティングで成果を挙げるには、これまで述べてきた通り、顧客の行動を適切に把握し、一人一人にあったコミュニケーションをすることで、エンゲージメントを維持・強化することが不可欠だ。
これからのビジネス界では、デジタル時代にふさわしい顧客コミュニケーションを提供している企業こそが、顧客から選ばれ、競合との差別化を図ることができるのだ。
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提供:アドビ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年11月30日