エンタープライズ:ニュース 2002/08/02 23:46:00 更新


ウイルス攻撃も夏休み?

7月から6月にかけて、ウイルス攻撃件数が若干減少したという。「セキュリティ意識の高まり」を理由として挙げる向きもあるが、単に夏休みだからかもしれない。

 ウイルス対策企業のセントラル・コマンドの報告によると、同社が記録したウイルス攻撃の件数が、6月から7月にかけて減少したという。ウイルス感染報告が前月比で減少したのは、今年に入ってから初めてだ。

「7月は最終的に、記録された(ウイルス攻撃の)件数が前月から若干減少した」とセントラル・コマンドのプロダクトマネジャー、スティーブン・サンダーマイヤー氏はリリース文で述べている。

 観測筋はこれについて、コンシューマーおよび企業が、自分のコンピュータやITシステムのセキュリティに関して、責任ある姿勢を取るようになっていることの表れであってほしいと望んでいるが、セントラル・コマンドはそうした見方に懐疑的だ。「(攻撃減少の理由が)悪質なコードに対する認識が高まったからであろうと、単に多数のユーザーが休暇に入り、コンピュータから離れているからであろうと、この傾向が続いてほしいと願っている」と同氏。

 攻撃の件数は減ったかもしれないが、インターネット上に出回るウイルスの数は増え続けている。感染報告数でトップに立っているのは、依然としてKlezだ(別記事参照)。

 Klezのようなウイルスのまん延、そして大規模なウイルス攻撃の可能性が迫っている前兆から、業界の専門家は企業に警戒を呼びかけている。

 アンチウイルスソフトメーカー、ソフォスでグローバルサポート責任者を務めるポール・ダックリン氏は、古いウイルスが依然として企業のシステムに感染していると語る。「ウイルスランキングの上位には3種類のウイルスがほぼ同率で並んでおり、Klezがここ数カ月間見せてきた独走態勢は破られている」と同氏。

 同氏によると、BadtransとMagistrの2つの古いウイルスが、今でも感染報告の約10パーセントを占め、Nimdaもいまだに1.5パーセントを占めているという。同氏はまた、感染報告のうち30パーセント以上が、その他のウイルスによるものだと指摘している。

 セントラル・コマンドの7月のウイルストップ12では、Klez.Eが首位の座に就き、それにElkern.CとSirCamが続いた。ランキングは、同社の緊急ウイルス対策チームが確認したウイルス感染数に基づいていると、同社は説明している。

 アンチウイルスソフトメーカー、トレンドマイクロのマネージドサービスアーキテクト、アンドリュー・ゴードン氏は、4−6月に同社が記録した新しいウイルスの総数は375種類で、1−3月期の313種類よりも増えているとしている。同社の世界全体のランキングでは、Klezが感染報告数でトップを占め、Funloveがそれに続いている。

「当社が観測した中で多かったのがJavaScriptウイルスのis_exception.gnだった」と同氏。このウイルス自体は特に破壊的な活動をするわけではないが、ブラウザのデフォルトサイトを特定のサイトに変えると、同氏は説明している。同氏は、この種のウイルスが懸念されると語り、企業はゲートウェイを通り抜けて送られてくるものをスキャンする必要があるとしている。

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[Vivienne Fisher & Graeme Wearden,ITmedia]