エンタープライズ:ニュース 2002/09/11 19:33:00 更新


UNIXの独占に風穴を開けるNECのIAサーバ

Itanium 2プロセッサを32基搭載したNECの「TX7/i9510」が、TPC-Cベンチマークで5位に食い込み、UNIXの牙城を切り崩すことに成功した。ハイエンドサーバにもWindowsを普及させたいマイクロソフトとしても、重要なステップになる。NECはIDFで次世代のMadisonを搭載したIAサーバもデモしている。

 460万ドルのNECサーバとWindowsの組み合わせが、これまでUNIXが稼動するマシンによって独占されていたパフォーマンスランキングにおいて、高い得点を叩き出すことに成功した。

 今回、トランザクション・パフォーマンス・カウンシルのTPC-Cベンチマークで5位にランクされたことは、PCやローエンドサーバだけでなくハイエンドサーバにもWindowsを普及させるべく長いあいだ苦しんできたマイクロソフトにとって重要なステップとなる。そうしたハイエンドサーバは、企業の極めて重要な処理、例えば、在庫管理や銀行口座管理などを担っている。

 高価なハイエンドサーバは、一般的に言って、高い利幅が得られ、またしばしば、サービスとソフトウェアの売り上げにもつながる。しかし、サン・マイクロシステムズ、IBM、ヒューレット・パッカードらが販売するそうしたサーバは、たいていWindowsではなく、UNIXで稼動させている。

 NECは、インテルのItanium 2プロセッサを32基搭載した460万ドルのTX7/i9510システムによって、UNIXの牙城を切り崩すことに成功した。

 法外の価格設定と思われるかもしれないが、富士通のPrimePower 2000サーバと比較すれば、お買い得といえる。巨大なPrimePower 2000 UNIXサーバは、SPARCプロセッサを128基搭載し、NECのマシンより50%高い性能を叩きだすものの、価格は1200万ドルだ。

 NECによれば、同社のシステムで使えるOSは、LinuxとHP-UXだが、Windows .Net Server 2003 Datacenter Editionが年内に利用可能になるという。

 現在、カリフォルニア州サンノゼで行われているIntel Developer Forumで同社は、32基のプロセッサを搭載したサーバをデモしたが、プロセッサは2003年にリリースされる次世代の「Madison」プロセッサだ。Madisonは、Itanium 2「McKinley」と似ているが、さらに高速のクロックスピードで動作し、また、より多くの高速キャッシュを搭載しており、全体のパフォーマンスが向上する。

 Itanium 2との類似性が高いため、プロセッサをMadisonやその後継であるコードネーム「Montecito」へアップグレードすることでサーバはすぐに高いパフォーマンスを手に入れることができる。IDFでは、ユニシスがそうしたデモを行っている。

 TPC-Cのベンチマークテストは、多くの人が同時に発注したり、在庫を引き当てる処理をシミュレーションするもので、データベースと組み合わせて行われる。

 マイクロソフトは、これまでにも「クラスタード」と呼ばれるTPC-Cベンチマークテストでは素晴らしい成績を収めているが、それは実際のシステムでは滅多に使われないような構成で、データベースを複数台のサーバに分散させていた。データベースを分散させない、「ノン・クラスタード」では、長いあいだUNIXが上位を独占している。

 NECのシステムは、30万9000tpmを記録した。この数値は、これまでのノン・クラスタードWindowsサーバ(ユニシスのES7000 32CPU)の記録を大幅に塗り替えるもので、実に2倍近い。ES7000の記録は16万5000tpmで、IBM x440(Xeonプロセッサ×8基)が9万2000で追う。

 インテルとマイクロソフトはランキング上位に食い込んできているが、UNIXサーバベンダーもただ手をこまねいているだけではない。HPは8月、PA-RISCプロセッサを64基搭載したSuperdomeサーバで最速となる42万3000tpmを叩き出した。

 サンは、スピード測定は時代遅れであり、顧客らには一般的なベンチマークではなく、実際のアプリケーションで試してみるよう勧めているとし、TPC-Cベンチマーク競争に参加するのを辞退している。アナリストらは、サンは良いスコアが出る保証がないのに競争に参加するために必要な数百万ドルの支出を渋っているだけだ。

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[Stephen Shankland,ITmedia]