エンタープライズ:インタビュー 2002/11/08 18:38:00 更新


Interview:新生HPに聞く、次のIAサーバ戦略(後編)

日本でも始動した新生HPはIAサーバを「インダストリスタンダードサーバ」と呼んでいる。インダストリスタンダードサーバ統括本部の香取明宏氏へのインタビューの後編をお届けする。

 ヒューレット・パッカード(HP)とコンパックコンピュータは、11月1日付けで日本でも正式に統合し、「新生HP」として新しい船出を果たした。同社はIAサーバを「インダストリスタンダード」と呼んでおり、強くコミットする姿勢が伺える。また、ブレードサーバという新しい市場でも、ライバル企業との水面下の争いも激しくなりつつある。新生HPのIAサーバ戦略について、インダストリスタンダードサーバ統括本部の香取明宏氏へのインタビューの後編をお届けする。

ZDNet 新生HPのブレードサーバの製品ラインアップを紹介してください。

香取 HPのブレードサーバには、e-Classとp-Classの製品があります。e-Classはいわゆる数で勝負できるWebサーバなどのシンプルなサーバ処理を想定しています。一方で、Pentium III/1.4GHzの2ウェイ、メモリは最大で4Gバイトとコンピューティングパワーを強化したp-Classでは、SQL Serverなどを稼働させることも可能です。

さらに、来年の最初の半年までに、Xeon(Gallatin)を4個搭載するブレードを投入する予定です。これは主に、メールサーバやデータベースサーバといった領域での利用が考えられます。つまり、すべての階層をブレードで構築することもできるようになるわけです。

また、Rapid Deploymentパックを利用すれば、普段はブレードをWebサーバとして利用しているユーザーが、時間帯によってはCRMのデータマイニングなど別の形態で利用するというようなことも、一括で設定できてしまいます。

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ZDNet スケールアウトの環境でデータベースサーバを構築する場合、複数に分散したディスクを1システムのイメージで利用できる必要が出てくる場合もあり、IAで比較的大きなデータベースを構築する際の弱点と言われていますが。

香取 頻繁なディスクアクセスによるパフォーマンスの低下を抑えながら、クラスタリング環境を構築するアプリケーションとしては、Oracle 9i RACがあります。HPはオラクルとも協業して、この技術を取り入れていく予定です。

ZDNet サーバ市場でのライバルについてはどう考えていますか?

香取 HPが提供するのは、IAへの信頼性を含めたトータルコストの優位性です。サーバが故障した場合はアラートだけでなく、どこが故障しているのか、さらには「どうすれば直せるか」というところまで知らせます。これが、HPが考える顧客主義なのです。

製品購入の時点での高い安いで判断して欲しくないと考えています。HPにはハイエンド機を提供してきた技術力がしっかりと根付いています。例えば、低価格を売り物にIAサーバを提供しているメーカーなどもありますが、サポートが早いと言っても直せなければ仕方がないのです。価格以外に質の高いサポートや管理ツールを提供しない場合には、IAサーバ全体の信頼性を崩す可能性があると考えています。

また、ある国内メーカーのブレードサーバについては元々、特定の大学研究機関向けに開発された、という経緯があります。したがってその研究のためには最適化されていますが、業務システムなどの別の利用をするためには幾つか課題もあると考えています。

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[聞き手:怒賀新也,ITmedia]