エンタープライズ:ニュース 2002/11/12 13:55:00 更新


基調講演:早くも新版が登場するOracle Collaboration SuiteはExchangeを狙い撃ち

オラクルは11月11日、「OracleWorld 2002 San Francisco」でコラボレーションスイートの新バージョンを発表した。先行するマイクロソフトやIBM/Lotusを追撃すべく、早くも発表された新しいRelease 2では、リアルタイムコラボレーションやワークフローの機能が追加されるという。今月下旬には日本での正式発表も計画されている。

 オラクルは11月11日、この日開幕した「OracleWorld 2002 San Francisco」でコラボレーションスイートの新バージョンを発表した。「Oracle Collaboration Suite」は米国で7月に発表され、最初のリリースが9月に出荷されたばかり。先行するマイクロソフトやIBM/Lotusを追撃すべく、早くも発表された新しいRelease 2では、リアルタイムコラボレーションやワークフローの機能が追加されるという。11日午後に行われた基調講演では、サーバテクノロジー部門を統括するチャック・ロズワット執行副社長が登場し、リモートからプレゼンテーションしたり、同じWebページを一緒にブラウズするデモを行うなど、その機能の一部を披露した。

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サーバテクノロジーのトップ、ロズワット執行副社長

 Oracle Collaboration Suiteは、これまでOracle9iやE-Business Suiteでバラバラに提供されていたコラボレーション機能をユーザー当たり60ドルという戦略的な価格でパッケージングしたもの。例えば、電子メール、ボイスメール、FAXなどに1つの受信ボックスからアクセスできるユニファイドメッセージング機能はOracle9i Applicationから集め、検索の「UltraSearch」や文書などを格納する「Files」と呼ばれる機能はOracle9i Databaseから集めている。また、Release 2で新たに追加されるリアルタイムコラボレーションの「iMeeting」は、E-Business Suiteで既に実績のある機能だ。

 もちろん、Oracle9iがデータリポジトリやアプリケーションサーバとして使われていることは言うまでもない。そのため、Oracle9iのスケーラビリティや堅牢さはそのまま享受できる。基調講演でロズワット氏は、Microsoft Exchange Server 5.5ではサーバ当たりの平均ユーザー数が620、Exchange 2000 Serverに移行しても2800ユーザー程度というスケーラビリティの限界を指摘した。

 Oracle Collaboration Suiteなら1万人以上をサポートできる。データとアプリケーションを数の少ないサーバに統合し、大幅なコスト削減と情報の質の向上を図るというオラクルの「鉄則」はここでも共通だ。システムの簡素化は、ソフトウェアの価格だけではなく、運用保守まで含めたTCOの削減に大きく寄与する。

 Oracle9iに精通したデータベース管理者がそのスキルを生かせるのもメリットだ。ユーザーも、例えばクライアントはOutlookをそのまま使い続けられるため、トレーニングし直す必要もない。調査会社、iギロットリサーチの試算では、Exchange Serverと比較して1/4以下までTCOを抑え込めるという。

月額10ドルのアウトソースサービスも

 また、電子メールといえども、もはやダウンタイムは許されない。ユーザーからは、24時間365日止まらない、高いサービス水準が求められている。ここでも、Webキャッシュからデータベースまで冗長性を持たせられるOracle9iの機能が生きる。

 Oracle Collaboration Suiteのパッケージングには、Oracle9i Real Application Clusters(RAC)の機能も標準で盛り込まれており、特別なライセンス料金はいらない。Oracle9i RACは、サーバを追加するだけでほぼリニアに性能が向上し、アプリケーションの書き直しも必要ない。「Unbreakable Oracle」や「Unbreakable Linux」を支える技術のひとつだ。

 ロズワット氏によれば、既にワールドワイドで1000社以上がOracle9i RACを導入しているという。

「経済が低迷する中、(LinuxとIAサーバのような)最小構成でスタートし、成長に合わせて拡張できるOracle9i RACの柔軟なスケーラビリティが評価されている」(ロズワット氏)

 既に60ドルという戦略的な価格が設定されているOracle Collaboration Suiteだが、新しいバージョンではさらに導入の敷居を下げるアウトソースサービスも同時発表されている。こちらはOracle Collaboration Suiteのフル機能がオラクルのデータセンターから提供されてユーザー当たり月額10ドルだ。

 ロズワット氏は、Oracle Collaboration Suiteのターゲットとして、世界で20万社に上るOracleの導入企業のほか、IT専門家のいない小規模事業者を挙げる。オラクルにとって、これまで入り込むことのできなかった市場だ。

 なお、Oracle Collaboration Suiteがリリースされていなかった日本市場でも、今月下旬に日本語版の正式発表が予定されており、詳細は未定だがアウトソースサービスも視野に入っているという。

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[浅井英二,ITmedia]