エンタープライズ:インタビュー 2002/11/19 17:43:00 更新


Interview:オラクルのジャービスCMO、アコースティックだが丸腰ではない (1/3)

オラクルでマーケティングを統括するジャービス氏に「OracleWorld 2002 San Francisco」の前週末、レッドウッドシティのオラクル本社でインタービューを行った。ジャービス氏は、宿敵マイクロソフトだけでなく、シーベル、WebEx、IBMらを容赦なく批判し、オラクルが今後予想される業界統合後、どうやって生き残っていくかについて話してくれた。

 コンピュータ業界は、ほかの確立された産業と違って、会社間で言葉の持つ趣旨が異なる業界だ。実際、コンピュータ業界の幹部たちは時折、公然と競合他社に執着して話をする。まるでNBAのスター選手の話のようにくだらなく感じることもある。

 先週、カリフォルニア州サンフランシスコ行われた「OracleWorld 2002 San Francisco」で同社のチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)、マーク・ジャービス氏は、「Oracle Collaboration Suite」の新バージョンでマイクロソフトに打撃を与えようとしている。

 また、ジャービス氏はこのカンファレンスを「Linuxフェスティバル」とも位置付け、Linux/Intelソリューションはウインテル(Windows/Intel)やUNIXと比較してコスト面で優位であることを何度も強調している。

 テクノロジーの巨人からの一撃は、CRMのような3文字略語、専門用語に染まった業界にちょっとした色を添えてくれる。だが、結局のところ、ユーザーの本当の興味は、この企業が自社のベストパートナーで、数字として表われるROI(Return on Investment)で卓越したソリューションを提供しているかにあるのだ。

 もし、マイクロソフトのExchangeからオラクルのCollaboration Suiteへ移行したことによってメリットがあるとなれば、オラクルは晴れて歓声を上げることができる。競争の激しいこの業界では、どちらかがゲームから脱落するまで常に追い越し追い越されの状態だ。

 マイクロソフトを打ちのめすことがオラクルのモチベーションを高め、製品の価値をアップさせているのなら、最終的には顧客へのベネフィットにつながる。だから、それならそれでいいのだ。だが、私には、オラクルやオープンソースムーブメントがランチを食べている間、マイクロソフトがただ傍観するだけとは思えない。

 私はジャービス氏にOracleWorldの前週末、カリフォルニア州レッドウッドシティにあるオラクル本社でインタービューを行った。ジャービス氏は、宿敵マイクロソフトだけでなく、シーベル、WebEx、IBMらを容赦なく批判し、オラクルが今後予想される業界統合後、どうやって生き残っていくかについて話した。

 Webサービスについては、ジャービス氏は「一時的な熱狂」とし、.NETとJavaの2つのグループが効果的に相互運用可能となるとは思えないとした。さらに、IBMの「オン・デマンド・コンピュータ・イニシアティブ」については、ビッグブルーがオラクルを真似しようとしているだけ、と一蹴した。これはかなりの誇張のように思えるが……。

 インタビューは、インターネットがオラクルのビジネスをどのように変えたかについての話から始まった。

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最近、髪を短く刈ったジャービス氏

ZDNet 従業員や顧客との関係で、インターネットという手段はどのくらい重要ですか?

ジャービス とても重要なものです。インターネットなしには、われわれの営業部隊はここまでリードできなかったでしょう。これまではホテルでセミナーを開催することが多かったが、これをインターネット上でも展開するようになりました。ネットでのセミナー参加者はホテルの10倍に増えました。

 利益の点でみると、ホテルの場合で参加者1人に対して350ドルの費用がかかるに対し、インターネットは1人当たり1ドルもかかりません。つまり、350分の1のコストで10倍の参加者を集めることができるということです。さらに、物理的に世界各地を回ってセミナーを開催していたものが、インターネットでは1回で世界中から参加者を集めることができるのです。

ZDNet さらに、時間も気にしなくていい?

ジャービス その通り。われわれのセミナーはオンデマンドのライブです。また、夕方から夜のライブセミナーへの要望が強いことも分かってきました。これなら仕事が終わってから自分で学習できるからです。

ZDNet あなたは、Webキャスト「Oracle Broadcast」も担当しています。これはオンラインセミナーと従業員や顧客向けのWebキャストの構成となっていますが。

ジャービス オラクル社員はコミュニケーションに関してWebに大きく依存しています。北米セールス事業部トップのキース・ブロック氏は、部下全員と定期的に電話で話をしており、平均して4000〜5000人が電話口にいます。ブロック氏が話をし、われわれがスライドをWebキャストします。参加者はWeb上でのインタラクションも可能です。これがオラクルの主要なコミュニケーション方式です。経済状況は良くありません。そこでわれわれは出張を減らして、必要なことはオフィスでできるよう工夫しています。

 オラクルでは平均して年1回、セールスのキックオフイベントを行っています。以前は、場所を選び、参加者がそこに飛行機で掛けつけ、総勢400人程度が集まるというもので、そこで重要事項を伝え、ラリー(・エリソンCEO)がスピーチをする、というのが典型的なパターンでした。このやり方で営業部隊を教育すると、費用は約1000万ドルかかっていました。今年、営業部隊にどうやってほしいかを尋ねてみたところ、インターネット上という答えが返ってきました。

ZDNet バーチャルなラリー・エリソン氏とマーク・ジャービス氏に依存していることで何か不利な点はありますか?

ジャービス そうは思いません。インターネットはこれまでとは異なるメディアだということに気が付けば……。スピーチに1時間も費やせません。5〜10分の間に制限されていますから、言いたいことを明確にして、イベント後に配られるものに重きを置くことになります。スピーチをする人は、スピーチの時間が5分しかないから、配布資料のことを考えてスピーチをするようになったという利点が出てきました。

ZDNet ほかのサイトのように、Oracle.comはカスタマイズ機能やMyOracle.comのようなパーソナライズ機能も備えています。これらの機能を使うユーザーは多いですか?

ジャービス Oracle.comのユニークユーザー数は月間400万に上ります。しかし、このうち、パーソナライズ機能を使うユーザーはごくわずか。MyOracleは顧客よりも従業員をターゲットとしたサイトです。

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[Dan Farber,ITmedia]