エンタープライズ:インタビュー | 2002/11/19 17:43:00 更新 |
Interview:オラクルのジャービスCMO、アコースティックだが丸腰ではない (2/3)
ZDNet 顧客にはポータルよりもパーソナライズ機能を薦めますか?
ジャービス 顧客に対してのパーソナライズ機能はこれまで十分にプッシュしてきませんでした。われわれのフォーカスは、従業員にありました。世界のどこにいてもインターネット経由で電子メールやカレンダー機能、ファイル機能へアクセスできるように、という理由からです。
Oracle Collaboration Suiteの意義
ZDNet 今週、「Oracle Collaboration Suite」の最新版が明らかになりました。顧客の観点から見たこの最新版の意義は何でしょうか?
ジャービス 今回の発表では、(マイクロソフトの)「Exchange」から顧客を奪い、オラクルへ移行してもらうことを狙っています。言い換えると、バージョン2では、「Exchange」の新バージョンにアップグレードするのにかかるコストの3分の1のコストで「Exchange」からオラクルのソフトウェアへと移行できるということです。
ZDNet この価格に含まれているものは何ですか?
ジャービス リプレースすることと、1ユーザー当たり50Mバイトの電子メール容量です。また、バージョン2では、1サーバ当たりのユーザー数が拡張できることに加え、生産性向上、コラボレーション、管理で新機能を多く用意しています。これ以外にも製品の観点でのコラボレーション機能も向上させています。
ZDNet コラボレーションツールではどのようなアプローチをとっているのでしょうか?
ジャービス WebExのように、オンラインミーティング機能を提供するベンダーはたくさんあります。彼らの方向性を見ていると、ユーザーが使用しているほかの生産性に関係するツールとうまく統合されていません。例を挙げると、カレンダー機能や電子メール、共有したいファイルと、オンラインミーティング機能をどうやって統合するのでしょうか?
(Collaboration Suiteの)バージョン2では、これらのアプリケーションを論理的に統合することにフォーカスしました。この統合により、機能を別々に持つ企業よりも革新的になれるでしょう。WebExやマイクロソフトの製品の場合、機能はばらばらです。統合できないから、革新もできません。
ZDNet 他社製品では、ファイルをプレゼンテーションに統合可能です。
ジャービス オラクルでは、1つのシステムに全機能を包含しています。これにより、ユーザーエクスペリエンスは向上し、運用コストを抑えられます。
ZDNet モノリシックなアプリケーションという認識を捨て、必要なアプリケーションや機能を選択するというポータルコンセプトに移行することは、あなたの考える新しい世界において、どれくらい重要ですか?
ジャービス アプリケーション統合というより、アプリケーション間で共通なデータ表現の方法が重要だと考えています。われわれの「E-Business Suite」を考えてみれば分かるでしょう。E-Business Suiteはさまざまなアプリケーションをデータレベルで統合したものです。営業システムとマーケティングシステムが同じデータにアクセスするので、2つの間には共通のディスカッション方法があるということになる。Collaboration Suiteでも同様で、電子メールをファイル、ボイスメールと統合しています。
Webサービスは一過性の流行
ZDNet オラクルは、Webサービスとなるとあまり熱が入っていないようです。Webサービス推進にあたって大きな役割を果たそうという計画はありませんか。
ジャービス この質問は正直に答えなければ……。われわれは、Webサービスは少し「一過性の流行」とみています。業界がこうなるといっているようにWebサービスが動くとは思えません。
ZDNet Webサービスを信じている業界の人をどう見ていますか?
ジャービス アプリケーションロジックの部品があちこちにあり、これらがある場所から別の場所へと流れ、接続して通信する。これが実現するとは思えません。
ZDNet ではWebサービスの将来の進化についてはどうでしょう?
ジャービス オラクルが常に信じていることは、すべての統合はデータレベルで行われるということです。そしてわれわれのE-Business Suiteはこの戦略の鍵を握っています。Webサービスにおけるわれわれの戦略は他社とそんなに変わりはないとも言えるでしょう。しかし、データを1カ所に集めるという考えはここでも一貫しています。
ZDNet これまでうまく協調できなかった歴史を持つ各社が、標準、そして自社の立場に同意できるでしょうか。
ジャービス 将来を予測するのに最善の方法は、過去を見ることです。一方に.NETが、そしてもう一方に各社が推進するJ2EEが存在します。両方の技術が共存するでしょう。
ZDNet 相互運用性についてはどうでしょうか。
ジャービス もし実現すれば、驚きです。
ZDNet オラクルはJavaを使ってバックオフィスのアプリケーションを構築している。この取り組みはどういう意味を持つのでしょうか。
ジャービス われわれは、すべてがJavaで記述されるようになるとは考えていません。たまにはシンプルなインタフェースが良くて、HTMLを選ぶでしょう。逆に複雑なデータ分析には、HTMLよりもJavaインタフェースの方が適しているでしょう。つまり、組み合わせとなり、オラクルの出荷済みアプリケーションにはたくさんのJavaパーツがあります。
Linuxフェスティバル
ZDNet それでは、オラクルの戦略の中でオープンソースはどんな意味を持つのでしょうか。
ジャービス われわれのオープンソースへの主要な貢献として、Linux向けクラスタファイルシステムがあります。レッドハット、インテル、デルの3社とある程度まで共同で行いました。実際、OracleWorldは「Linuxフェスティバル」でもあるのです。
[Dan Farber,ITmedia]