エンタープライズ:ニュース 2003/02/21 00:32:00 更新


Itaniumプロセッサファミリーに肩入れするオラクル

オラクルの64ビット版Oracle投入は1995年まで遡るが、ここへきてインテルアーキテクチャへの肩入れが目立つ。プロセッサ、OS、そしてミドルウェアを擁するIBMとの競合関係を考えれば、ソフトウェア専業の同社としては、自然な流れといえるだろう。

 日本オラクルは2月20日、「Oracle9i on Itanium 2 Processor」カンファレンスの開催に合わせ、都内のオフィスでプレスブリーフィングを行った。

 同社はこの日、インテルの64ビットアーキテクチャ、Itaniumプロセッサファミリーに対応した「Oracle9i Database Release 2 for HP-UX 11i version 1.6 for the Intel Itanium Processor Family」を4月7日から出荷することや、同Oracle9iをプリインストールしたヒューレット・パッカードのItanium 2搭載「hp server rx2600」を無償で貸し出すアーリーアクセスプログラムも発表された。

 清水照久マーケティング本部長によれば、既に同プログラムには3件の申し込みがあり、最終的には2ケタの貸し出しを目指すという。当初は、HP-UX版のみが対象だが、LinuxおよびWindows版がリリースされれば、それに応じてプログラムも拡大していくという。

 Itanium 2プロセッサが昨年7月に出荷が始まり、64ビットコンピューティング時代が本格的に幕を開けたが、実はオラクルの64ビット版投入は1995年まで遡る。旧ディジタルイクイップメントのDigital UNIXを皮切りに、HP-UX、AIX、Compaq Tru64、IRIX、そしてSolarisへと順次対応し、現在同社が出荷しているOracle9i Databaseは64ビットが主流となっている。9iビジネス推進グループの藤原慎マネジャーは、「既に64ビットの世界で実績を重ねている」と自信を見せる。

 オラクルでは、Itaniumプロセッサファミリーに対しても、PowerプロセッサやUltraSPARCプロセッサと同様、その性能を最大限に引き出すべく、最適化に努めている。EPICテクノロジーの完全活用やインテルコンパイラによる開発、大容量メモリのサポート、大容量レベル3キャッシュの活用などだ。ただし、インテルアーキテクチャでは、OSの選択肢が提供されている点が、IBMのPowerやサン・マイクロシステムズのUltraSPARCと大きく異なる。

 オラクルのラリー・エリソンCEOは、1998年のCOMDEX/Fallで「Raw Iron」構想をぶち上げて以来、RISC/UNIXマシンやWindowsマシンと比較して安価に導入できるIAサーバとLinux(98年当時はSolarisの組み込み版)のコンビネーションに肩入れをしてきた。WebSphereやDB2を強化し、プロセッサ、OS、ミドルウェアを持つIBMとの「競合」関係を考えれば、ソフトウェア専業のオラクルとしては自然な流れと理解できる。

「Unbreakable Oralce」や「Unbreakable Linux」というオラクルのメッセージや技術は、IAサーバやLinuxという、エンタープライズ市場の基幹システムではいまだ実績の少ない新興技術のスケーラビリティや可用性を大幅に引き上げる役割を担っている。

 日本最大級のエンターテイメントサイトである「TSUTAYA Online」が、Oracle9i Real Application Clusters(RAC)を利用したIAサーバ + Linuxソリューション(4CPU×4ノード)でSPARC/UNIXのSMPサーバをリプレースしたことも記憶に新しい。コストを大幅に削減しながら、管理できる会員数は300万人から1800万人へと6倍になったという。

 企業がIT支出に慎重になる中、国内におけるOracle9i RACの導入顧客は予想以上に増えており、5月までに本番稼動する顧客は100以上という。HP-UXに続き、Itanium 2対応のLinuxとWindowsが出そろえば、こうした動きはさらに加速するに違いない。

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[浅井英二,ITmedia]