エンタープライズ:ニュース 2003/03/04 22:54:00 更新


SGIのゴウCTOがグリッドコンピューティングの問題点を指摘

日本SGIはグリッドコンピューティングへの取り組みに関する記者説明会を開催し、来日中の米SGIのイングリム・ゴウCTOが、SGIの注力する技術とグリッドコンピューティングの現状などについて話した。

 日本SGIは3月4日、都内の本社において、SGIのグリッドコンピューティングへの取り組みに関する記者説明会を開催した。来日中の米シリコン・グラフィックスのイングリム・ゴウCTOが、SGIの注力する技術とグリッドコンピューティングの現状などについて話した。

米SGIのゴウCTO

米シリコン・グラフィックスのイングリム・ゴウCTO(画像は3月3日の「SGI LX 3000」発表会の時のもの)


「データが全部入る大きなメモリを用意して、そこにデータを入れる。そしてそこから動かさずに処理をする」(ゴウ氏)これがSGIの基本的な考え方だ。企業のITシステムにおけるデータはどんどん巨大化しており、高速なネットワークを利用したとしてもコンピュータ間でデータファイルを転送するのに数時間以上もかかる。これではリアルタイムに更新されるデータを扱うことはできない。

 これに対するSGIの答えが、Origin 3000シリーズやLX 3000シリーズで採用している共有メモリアーキテクチャ(cc-NUMA)や、異機種間で同じファイルを共有できるグローバルシェアードファイルシステム(CXFS)だ。これにもう1つ、遠隔地にあるデータをローカルコンピュータにコピーすることなく可視化する技術(OpenGL Vizserver)を加えた3つが、SGIがグリッドコンピューティング向けの基盤技術として早くから注力してきた技術になる。「機能のところにデータを持っていくのではなく、データのところに機能を持っていく」(ゴウ氏)というコンセプトだ。

 またゴウ氏は現在のグリッドコンピューティングに関する問題点を3点挙げた。まず、「グリッドコンピューティングへの誤解」。これはグリッドコンピューティングの評価が、実際の能力以上に高くなっている傾向があるというもの。2点目が「グリッドコンピューティングの経理」。これは、グリッド化されたコンピュータの使用料を誰がどのように請求するのかという問題。3点目が「グリッドコンピューティングのセキュリティ」。誰に権限を与え、あるいは与えないかをどのように管理するかという問題だ。

 現時点で、グリッドコンピューティングのシステムが複数の団体にまたがって使われているのは学術機関にほぼ限られており、一般の民間企業では企業/企業グループ内での利用にとどまっている。利用が進まない原因が、グリッドコンピューティングの経理/セキュリティの問題が解決されていないからだとゴウ氏は指摘した。

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[佐々木千之,ITmedia]